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【インタビュー】「この5人がいれば負けない」体操・橋本大輝が語った団体への強き思いと「しんどい3年間」《4年後の個人総合3連覇も視野に》

2024/07/26
東京五輪、そして22年と23年世界選手権でも個人総合を制している橋本
東京五輪で体操男子の新たなエースに成長。しかし、パリまでの道のりは平坦ではなかった。追われる者としての宿命を背負いながらも、個人はもちろん、悲願の団体Vへの想いを明かす。(原題:[王者が見せる自信]橋本大輝「もう一度みんなで笑うために」)

 史上最年少の19歳で男子個人総合と種目別鉄棒の2冠に輝いた東京五輪から、3年が経った。体操ニッポンの絶対エース、橋本大輝。金メダリストの風格と屈託のない笑顔が同居している22歳にとって、2度目の大舞台となるのがパリ五輪だ。

「東京五輪が終わってからは早かったですね。でも早かった分、内容の濃い3年間でもありました」

 ただ、東京五輪後は決して楽な道のりではなかった。

勝利からも敗北からも学んだ「勝ち方」。

 金メダルを手にしてから最初に悔しさを味わったのは、東京五輪を終えてわずか3カ月後の2021年10月だった。北九州での世界選手権で、中国の新鋭・張博恒(ジャンボーヘン)に0.017点差で個人総合の優勝を許し、2位にとどまったのだ。張が東京五輪に出場していなかったのに対し、橋本は9月の全日本学生選手権にも出場してから世界選手権に臨んでいた。そのため体は疲労困憊していた。しかし、橋本は言い訳ひとつしなかった。

「勝ちきれないのは弱さがあったから。来年からまた頑張れる理由ができた。ライバルがいてまた強くなれる」

 潔く、爽やかだった。そして、心に誓った通りに努力を重ね、1年後の'22年リバプール世界選手権では張を抑えて有言実行の個人総合初優勝。「北九州での世界選手権で悔しい思いを経験したからこそ、もう一度『自分の体操、日本の体操が世界一であることを証明したい』という思いが湧き上がっていました」と胸を張って言った。

「自分がしっかりやれれば金メダルを獲れるという自信はありましたし、自分の演技に集中することの大切さを感じました」とも語った。橋本は勝利からも敗北からも「勝ち方」を学んでいた。

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photograph by Asami Enomoto

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