クラシック第一弾、桜花賞(4月9日、阪神芝1600m、GI)はすぐそこ。今年は桜の開花が早く、当日の阪神競馬場が葉桜となっている可能性もありそうだが、だとしても3歳牝馬同士の華やかな戦いに陰りは及ばない。
断然の主役は、2歳牝馬チャンピオンに輝いたリバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎、父ドゥラメンテ、母ヤンキーローズ、3戦2勝)だ。
夏の新潟芝1600mでデビューして、そのときにマークした上がり31秒4が衝撃的。新潟で勝った馬は最後の直線の脚が印象的に見える傾向があるが、これだけの速い上がりタイムは古馬でも出せない。2戦目のアルテミスS(東京芝1600m、GIII)は不完全燃焼気味の走りで2着に敗退したが、年末の阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神芝1600m、GI)は、立て直しての完勝。能力の高さに疑義を挟む余地はない。
トライアルを全部パスして3歳の初戦が桜花賞というローテーションも言わば近年のトレンドで、不安視する要素とはならない。デビューから3戦続けて1600mを選択しているように、この桜花賞は狙いすました大目標と読み取れるわけで、穴党たちの死角探しも徒労に終わりそうだ。
というのも、チューリップ賞(阪神芝1600m、GII、勝ち馬モズメイメイ)、フィリーズレビュー(阪神芝1400m、GII、勝ち馬シングザットソング)の両トライアルでは、リバティアイランドを倒しそうな馬が見当たらなかったからだ。上位2頭に優先出走権が付与されるアネモネS(中山芝1600m、リステッド、勝ち馬トーセンローリエ)にしても同様で、かなり偏ったオッズが形成されそうな情勢だ。
逆転の可能性を残している馬は、2戦2勝のライトクオンタム(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎、父ディープインパクト、母イルミナント)だ。シンザン記念優勝時の武豊騎手が述べた「ディープというより、サンデーサイレンス産駒の懐かしい感触が伝わってきたよ」のコメントが印象的。その真意は「ヒョロヒョロの体から、ビックリするような鋭い脚を繰り出す」だった。日本に6頭しかいないディープインパクトの最終世代からクラシック馬が生まれたら、これも血のロマンだ。