'18年W杯で4位、'21年EUROで準優勝と頂へ迫っていたイングランドが、大きく膨らんだ期待に応えることなく準々決勝で姿を消した。前回王者と渡り合いハイパフォーマンスを演じた彼らの評価はいかに。
残酷な幕切れだった。世界王者フランスと互角に戦い、後半終盤にハリー・ケインがこの日2本目のPKを決めていれば、勝負は延長に持ち込まれていたはずだ。しかし主将の腕章を巻いたエースが蹴ったボールは、ユーゴ・ロリスの守るゴールのバーの上を大きく越えていった。
残されたわずかな時間でスコアは動かず、今大会最後の準々決勝はフランスの1-2の勝利で終わった。笛が鳴った時、ケインは上空を見上げた。あのPKが成功していれば、彼はイングランド代表で単独の最多得点者になっていたが、そんなことは考えていなかっただろう。長く牽引してきたスリーライオンズをまたしても栄光に導けなかった現実に打ちひしがれ、アラブの虚空に何を見ていたか。そっぽを向いた勝負の女神か、それとも強すぎた相手か。
ガレス・サウスゲイト監督も現役時代に、代表戦の重要なPKを失敗している――EURO96のドイツとの準決勝のPK戦だ。昨年のEUROでPK戦の末にイタリアに敗れた決勝も含め、イングランドはまたもスポットキックの行方に涙を飲んだ。
2013年にFA(イングランド協会)のグレッグ・ダイク会長(当時)が'22年W杯で優勝することを目標に定めてから、代表は目覚ましい足取りを見せてきた。同じ年にU-21代表監督としてFAと契約を結んだサウスゲイト監督が3年後にA代表の指揮を執り始めてからは、'18年W杯で4位、'21年のEUROで準優勝と、究極のタイトルへ順調に近づいているように思えた。
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