阿部寿樹は2人いる。1人はバットを長く持って長打を狙う、引っ張りの阿部。もう1人はバットを短く持ってコンパクトに振る、右狙いの阿部――交流戦で対峙した田中将大を2人の阿部が攻略した。
5月31日、この日もドラゴンズの5番に座った阿部は第1打席の初球、田中のカットボールを見送った。その直後、右狙いの阿部が現れる。
「気持ちの面で余裕を持ちたかったんです。ちょっと短く持ったところで技術的には変わらないんですけどね(笑)。初球を見て、これはヤバいと思ったので、操作性がよくなるかなと思って、短く持ちました」
第1打席は見逃し三振に終わったものの、第2打席、ふたたびバットを長く持った阿部が現れた。田中に対してバットの操作性を大事に考え、心の余裕を持ちたいというのなら第2打席もバットを短く持てばいいと思うのだが、阿部はこう言った。
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photograph by KYODO