2試合連続の完全試合を目前にした投手を降板させる。ひと昔前なら考えられない決断で、批判が集中してもおかしくなかったはずだ。しかし大記録に手をかけていた佐々木朗希投手を、8回で降板させたロッテ・井口資仁監督の決断に、球界内外から支持する声が多く寄せられている。
記録のためではなく選手の将来を最優先したこの交代は、日本球界にとり、将来への一つのメルクマールとなる決断だったかもしれない。だからこそ、一番気になるのは、井口監督がいつ、どのタイミングであの降板を決断したのかということだ。
実は完全試合を達成した4月10日のオリックス戦の佐々木の球数は全105球で、8回終了時点では98球だった。一方、17日の日本ハム戦の8回降板時の球数は102球である。その差はわずかに4球でしかない。表面的には、球数100球を越えた時点で次のイニングに入らないというのが降板ラインとなっているように見える。しかしオリックス戦で、8回に球数が100球に到達していたとしても、井口監督は「9回も投げさせていますよ」と断言するのだ。
それではどういう基準で17日の日本ハム戦で8回降板という決断がなされたのか。井口監督はそのプロセスをこう説明する。
「完全試合をやったオリックス戦は、開幕して3回目の登板だったと思います。4回目の登板を終えたら、1回ローテーションを飛ばすことも考えていました。1回目を投げた後、2回目を投げた後、3回目を投げた後で、疲労の抜け具合が明らかに違ってきていたからです。しかも日本ハム戦では、7回くらいから朗希自身が首をひねりながら投げていた。そういう姿も見ながら『8回が限界かな』と。試合後に本人に確認したら『あれ以上投げていたら、どうかなっていたかもしれません』と言っていましたからね。そういう意味では判断は正しかったのかなと思います」
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