#1051
巻頭特集

[藤原兄弟の野望]シャフリヤール「日の丸を背負う、天井知らずの才」

2022/05/20
灼熱のドバイで頂点に立った昨年のダービー馬。調教師の藤原英昭は「やっぱり強い」と振り返り、弟で調教助手の和男は「イメージができていた」と明かす。師と弟の最強タッグが信じてやまない無限の可能性に迫る。

 藤原和男は勝つイメージができていた。

 先にドバイにはいり、チャーター機でやってくるシャフリヤールを待っていた。はじめての飛行機輸送で、積み込まれたときにはいくらか入れ込んでいたという連絡を受けていたが、到着したときには落ち着いていた。ヴァンドギャルドが一緒だったこともさいわいし、リラックスしている。ドバイレーシングクラブが用意したチャーター機は人間でいえば、ファーストクラス仕様。馬がはいるコンテナも通常よりも広い。輸送する人たちもプロフェッショナルで、すべてにおいて馬優先でやってくれた。

 到着して2、3日後には落ち着きがなくなり、いくらか食欲も落ちたが、それも想定内のことで、すぐにケアできた。和男はドバイも3回めになり、メイダン競馬場も前の年に経験している。芝コースには毎日水が撒かれていたが、ドバイの太陽に照らされ、蒸発していくことも知っていた。

 騎乗を依頼していたクリスチャン・デムーロはフランスでレースがあって追い切りに乗れないのは誤算だったが、事前にその旨を知らせてきたので、それに合わせた調教メニューを組んでいた。馬は日本でしっかりとトレーニングを施されており、ドバイではレースに向けた調整がメインだったが、すべてがイメージどおりに進んでいた。

「ボスが表彰台にあがるイメージもできていたよ」

 和男が笑いながら言った。「ボス」とは2歳上の兄、藤原英昭調教師である。

ダービー馬の将来の実益と挑戦してみたい気持ち。

 藤原英昭は競馬の社会にはいったときから「世界基準」の馬づくりをめざしてきた。高校、大学と杉谷乗馬クラブ(大阪)にかよい、メキシコから3大会連続でオリンピックに出場した杉谷昌保に師事していた藤原は、同志社大学の馬術部では学生馬術界のトップライダーとして活躍した。

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