#1046
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[前人未到の挑戦を見て]羽生結弦へのメッセージ――パトリック・チャン「以前に比べて自信に満ち、何より存在感がぐっと増した」

不運に見舞われたSPからの逆転を懸けて、足首の故障を抱えながら4回転半の大技に挑んだ。五輪の舞台で見せた勇姿に捧げる、盟友たちのエール。

 8年前のソチ五輪、羽生結弦の最大のライバルとして金メダルを競ったパトリック・チャン。現在住むバンクーバーから取材に応じ、羽生について語ってくれた。

「男子の闘いは素晴らしいものでしたね。ぼくはもう競技から引退して4年になるけれど、ユヅは2014年のソチオリンピックで一緒に戦ってから、この8年で何と遠くまで到達したのだろうかと感動しています」と、パトリックは口火をきった。

「ソチオリンピックまでの自分は3度世界タイトルを手にして、高く評価されていたスケーティング技術に4回転をSP、フリーで合計3本加えて、当時はこのスポーツのパイオニアだと自認していました。ユヅはその地位を継承して、このスポーツを誰も到達できなかったレベルまで高めて行ってくれたと思っています」

 フリーで4回転アクセルに挑戦していなければ、メダルを獲得していただろうという意見もあるが、彼はどう感じたのか。

「SPでの不運なミスがあってから、彼はフリーに向けてもう失うものは何もないと感じていたのではないでしょうか。彼は2度もオリンピック金メダルを手にしてきたのだから、今更銅メダルを手にすることにはあまり意味を感じなかったのだろうと思う。それよりももっと大きな目的を持って、このスポーツの未来のために男子の次のステップは何かと考えて挑戦したのだろうと思うんです。見ていたファンにとっても、とてもエキサイティングでした。もちろん成功していたら素晴らしかったし、片足で立っていることができたら良かったと思う。でも彼はその後2度の4回転とトリプルアクセルを成功させ、演技をまとめた。それがいかに難しいことだったか、人々はもっと評価してあげて欲しいと思います」

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photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

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