これまで数々の“神騎乗”で大レースを制し、今年もリーディング争いの首位をひた走る王者はなぜこれほど勝ち続けられるのか。同じ舞台で戦う好敵手たちの言葉で迫る。(初出:Number1027号[ジョッキーたちの証言]クリストフ・ルメールは何が凄いか)
“JRA騎手”として7年目のシーズンを迎えたクリストフ・ルメール。これまでの彼の足跡を辿ると、とてもわずか7年で達成したとは思えないほどの輝かしい成績を残している。重ねた勝利数は1000勝以上。JRA・重賞タイトルは95(うちJRA・GI 36勝。5月14日現在)を数え、2018年には年間215勝をマーク、武豊が2005年に記録した212勝を更新した。
彼の偉業は数字面だけに留まらない。短期免許時代の2005年・有馬記念ではハーツクライとのコンビでディープインパクトを撃破。記憶に新しいところでは昨年、アーモンドアイとともに史上初の芝GI 9勝(海外1勝含む)を成し遂げた。
そんなルメールの数ある勝利の中でも、“神騎乗”との呼び声が高いのがレイデオロで制した2017年の日本ダービーだ。前後5ハロン63秒2-59秒1という超スローペースを、序盤は14番手から運んだレイデオロ。しかし向正面で一気に2番手までポジションを上げると、そのまま直線で先頭に立って押し切ってみせた。レース後には「ペースが遅かったので、バックストレッチで上がっていきました」と涼しい顔で振り返ったが、平場のレースならばいざ知らず、ダービーという大一番で“マクリ”を決めた手綱さばきには多くの競馬ファンや関係者が舌を巻いた。
そのダービーでレイデオロ=ルメールの仕掛けに呼応するかのように向正面で上がって行ったジョッキーがいる。ペルシアンナイトに騎乗していた戸崎圭太だ。当時の心境を戸崎に振り返ってもらった。
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photograph by Keiji Ishikawa