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温かくて冷たくて温かい。木内幸男はだから勝った。~高校野球、“勝ち”にこだわる名監督~

2020/12/13
肺がんのため逝去した木内氏。多くの教え子が師の死を惜しんだ

 1987年のはずである。もしかしたら翌年。何月かは忘れた。車窓の外は暗かった。

 荒川沖駅からの常磐線車中だ。その人は横並びの席の真ん中あたりに腰かけた。常総学院高校野球部監督、木内幸男。こちらはスポーツ新聞の駆け出し記者だった。練習の取材を終えると「のびのび野球」の名将につきまとって同乗した。前のつり革につかまり、つぶやく言葉に耳を傾けた。

「高校は義務教育でないから」

 北関東の憎めぬ抑揚でガハハハと笑う印象とは違った。そっけない口調。「だから野球の上手でない部員に試合の機会がないのはしかたない」。そんな文脈だった。

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photograph by KYODO

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