推定年俸1000万円、昨季まで通算10安打の男が、巨人のエース菅野智之の球を豪快にスタンドへ運び、驚異の打率5割で、日本シリーズMVPに輝いた。先輩たちに愛される24歳の若鷹、飛躍の物語――。
未だかつて、これほど底抜けに明るいMVPインタビューがあっただろうか。令和の世に誕生した「シリーズ男」は24歳の若鷹、栗原陵矢だった。持ちネタである「元気100倍、アンパンマン!」のモノマネを、少し照れながらも全力で披露。日本中の野球ファンが注目したお立ち台を締めくくった。
「しゃべっている最中にベンチの方をちらっと見たら、先輩たちがみんな『やれ、やれ』とこっちに向かってジェスチャーをしてくるんで、これはもうやるしかないなと。特に(川島)慶三さんが一番目立っていましたね(笑)」
この大舞台でこんな思いきったことがやれる。それがホークスのチームカラーであり、強さの象徴でもある。
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photograph by Naoya Sanuki