#1015
巻頭特集

記事を
ブックマークする

マイケル・ジョーダン×コービー・ブライアント「NBAを制する知性と精神」~レガシーの継承:メンタリティ~

2003年2月、ジョーダンの現役最後のオールスターで競演した2人
現役時代2度の3連覇を達成したバスケの神様は、常に全力で勝利を追い求め、一切の妥協を許さなかった。そんな“神”の後継者と呼ばれたスーパースターも、彼に憧れ、手本にし、マンバ・メンタリティを築き上げた。2人の飽くなき向上心と勝利を掴むための信念。彼らのDNAは時代が変わっても生き続けている。

 2003年2月、マイケル・ジョーダンにとって現役最後となったオールスターゲームでのこと。本気の勝負にこだわるジョーダンにふさわしく、試合はオーバータイムにまでもつれる熱戦となった。

 オーバータイム終了間際、同点の場面で東軍のジョーダンが放ったシュートが決まった。ジョーダンが有終の美を飾った、と誰もが思ったその直後、残り1秒で西軍のコービー・ブライアントが3Pシュートを打ち、ファウルの笛が鳴った。コービーがフリースロー3本中2本外せばジョーダンの決勝シュートで東軍が勝利という場面だ。まず1本を決め、続く2本目は外れた。これで1点差。

 3本目を前に、コービーは柄にもなく決めるべきかどうか迷っていた。昔から尊敬してきたジョーダンがシュートを決めた後だけに、完璧なエンディングを花道に送り出したい。その一方で、たとえオールスターゲームでも、わざと負けることは選手としての自分の信条にも反する。

「身体が二つに引き裂かれるような思いだったんだ」

 そんなコービーの気持ちを察してか、ジョーダンは横からいつものようなトラッシュトークで煽ってきた。それを、「いつものように全力でプレーしてほしい」というメッセージだと受け止めたコービーは、最後のフリースローを決め、再オーバータイムにもちこんだ。結局、試合は西軍の勝利。ジョーダンは、「もちろん勝ちたかったけれど、競った試合になったから満足だ」と、コービーらが最後まで手加減せずに戦ったことを喜んだ。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Getty Images

0

0

0

前記事 次記事