一目惚れしたのは、デニス・テンが15歳の時だった。'09年世界ジュニア選手権で、身体から音色が聞こえるような演技で4位。エキシビションではバレエのチュチュをつけて登場して『白鳥の湖』を華麗に舞うと、途中で衣装替えしてパワフルに滑った。
「高橋大輔の『スワンレイク』に刺激されました。僕も芸術的なスケーターになってカザフスタンにフィギュアスケートを広めたい。今回は母国で初めてスケートがテレビ放送されるので、とっても誇りに思います」
スケート界では無名のジュニア選手だったがテレビ局が密着取材しており、スケート後進国での期待の大きさを感じさせた。逆に「なぜ日本人が彼を取材するのか」とインタビューされたので、「とても美しい滑りをする選手だから。いずれ五輪のメダルも目指せる」と話すと、同国の関係者が大興奮していた。
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photograph by REUTERS/AFLO