「マラドーナ、マラドーナ、マラドーナ、来たぁ、マラドォーナァアー」。著者による1986年メキシコでのW杯準々決勝、マラドーナがドリブルで“5人抜き”をして2点目を挙げたシーンの実況だ。マラドーナの名はディフェンダーを一人かわすごとに発せられ、「来たぁ」はゴール前に迫るマラドーナと防御に飛び出すGKの動きに呼応し、シュートが最後の長い一声。絶叫せず声のトーンだけが強くなっていく簡潔きわまる実況が、画面の動きと同調して見事だった。本書でもこのシーンが出てくるが、わずか5行。「世界中のアナウンサーが同じような実況をしていたのではないだろうか」と、著者の人柄がのぞいている。
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photograph by Sports Graphic Number