最強馬が窮地に立たされたのは、重賞8連勝をかけた有馬記念。しかし、多くの困難を乗り越えてきた騎手や調教師との絆が、レースの最後に「神様がくれた」という奇跡をもたらした。
鹿児島県の実業家、竹園正繼(まさつぐ)オーナーと岩元市三調教師は、元々が幼なじみの間柄。騎手時代の岩元がバンブーアトラスで'82年ダービーを勝ったとき、その優勝騎手インタビューを竹園がテレビで偶然見たことをきっかけとして、馬主になりたいと考えるようになったのだという。岩元が調教師として開業するや早速預託契約を結び、馬産地に二人で頻繁に足を運ぶことになる。
北海道浦河町の杵臼牧場に出向いたときに、栗毛の1歳牡馬を竹園が見初めた。それがのちのテイエムオペラオーだった。
「あの馬だけが光り輝いて見えた」と言うのは竹園だが、岩元は「まあ、普通にいい馬かなと。グングン良くなっていったのは、トレセンに入れて本格的な調教を積んでからだったよ」と、この時点では多少の温度差があったらしい。
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photograph by Keiji Ishikawa