三遊間へ打球が飛ぶ。それも逆シングルでなければ届かないような深いところではなく、正面に回り込めるところだ。ここからならノーバンで矢のような送球が……と思いきや、今宮健太は一塁へワンバウンドのボールを投げた。
首位攻防となった8月20日のファイターズとの一戦。ホークスが1点をリードして迎えた8回裏、ツーアウト二塁のピンチで、矢野謙次が三遊間へゴロを打った。ショートが今宮とくれば、期待するのは彼の“ウルトラ強肩”である。その瞬間、彼のこんな言葉が蘇ってきた。
「三遊間の深いところへ飛んで来ると、よっしゃ、ここが見せ場だと、ワクワクします。僕はどんな深いところからでもノーバンで一塁へ投げたいんで……」
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photograph by Hideki Sugiyama