37度目、実に12度目となる白鵬の全勝優勝で幕を閉じた5月の夏場所。13日目の白鵬対稀勢の里戦は、稀勢の里の初優勝と、横綱昇進の可能性を左右する大一番となった。結果は白鵬の完勝で、稀勢の里への“大きな期待”は、すべて翌場所に持ち越されることとなってしまった。日馬富士、鶴竜の2横綱、豪栄道や琴奨菊らの大関陣は精彩を欠き、幕内の土俵ではこのふたりの優勝争いだけが、唯一の見所だった感がある。
一方で、充実していたのが十両の土俵だった。新十両として土俵に上がった、アクロバティックな相撲で注目を浴びる宇良と、貴乃花親方の愛弟子である19歳の佐藤。十両優勝こそ元幕内の千代の国にさらわれたものの、佐藤はストレートの勝ち越しで11勝。前に出る押し相撲を身上とするも、たびたび引く相撲が見られたが、自身も引き技を得意としていた二子山親方(元大関雅山)は、「タイミングが絶妙。巧い」と佐藤のその叩き込みの技術には唸るほどだ。
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photograph by KYODO