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名門コースや歴史が満載、愛の詰まった「読むゴルフ」。~寝る前に3、4章、そんな読み方を~

2016/04/09

 ベテラン・ゴルフライター最後のエッセイ集だ。どの章から読み始めても構わない。ゴルフの歴史が語られる。有名、無名のゴルフ史上の人物がスケッチで紹介される。プレーにまつわるエピソードが披露され、名門コース案内があり、忘れがたい人との出会いがある。まことに豊かなゴルフ文化が著者の円熟の筆で、おしゃれに語られる。

 たとえば、スコットランドで著者が出会ったフランス人の老夫妻の話。夫妻は夫が60歳になると経営していた会社も自宅も処分し、全資産を数枚のカードに換えて“宿なし”になった。晩年は歩ける限りゴルフに溺れて暮らすという二人の夢の実現のためだった。それから1年7カ月、フランス、アイルランドと回り、今はスコットランドのゴルフ巡礼中という。旅先で死んだら、その土地で埋葬。残ったほうは近在のコースに通いながら墓守りをし、最後はパスポートの裏に書いてある弁護士事務所に連絡してもらい、伴侶の隣に眠るのだという。ゴルフに魅せられた老夫婦の心豊かな人生を描いた掌編。優れたスポーツエッセイは、書かれている競技をプレーしない読者をもとらえるだろう。この老夫妻の話は、そのお手本のように思われる。

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photograph by Sports Graphic Number

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