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現場には血が通っていた。~トヨタ創業者の孫を「運転のことも分からない人に」と一喝したテストドライバー~

 経営とスポーツの間には、どんな関係があるのだろうか? さらに深く掘り下げるならば、ビジネスと経験的実感の相関関係とは? それを示唆するノンフィクションがこの1冊である。

 本書はトヨタ自動車という企業のサイドストーリーであり、またレースに魅せられた男たちの友情秘話でもある。主人公は、現社長の豊田章男と社内の車両実験課に所属するテストドライバー成瀬弘(ひろむ)。臨時工として19歳からトヨタで働き始めた成瀬は、13歳年下の豊田に初めて会った時、ぴしゃりこういったという。

「運転のことも分からない人に、クルマのことをああだこうだと言われたくない」

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photograph by Wataru Sato

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