ジャパンの主将。桜の男たちを先導するのは、高校入学時から日本で育った武骨なバックローだ。謙虚さと荒々しさを併せ持った生粋の戦士が、ワールドカップの死闘最前線に身体を投げ出す。
「MVPを1人あげるなら、リーチです」
日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が、あるトークイベントでそう言ったのは、HC就任1年目、欧州遠征の後だった。エディーは続けた。
「ジョージア戦で、リーチが相手の顔を手ではたいて、危険なプレーとしてペナルティを取られて、レフェリーから注意を受けた場面があった。その直後、リーチは同じ選手に、まったく躊躇なく激しいタックルに行った。これがインターナショナルです」
日本の社会なら「反省の色がない」と言われかねない行動だが、骨を削り合うテストマッチの世界の評価は違う。ひとつの反則で怯んでいたら、勝利を掴むことなどできない。反則をして良いわけではないが、恐れないことはもっと大切なのだ。
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photograph by Tadayuki Minamoto