相撲の場は特別な空間だ。天皇の国技館での観戦をひいて、著者はそこが天皇にとっても「酒や折詰料理を口にしている庶民と座を共にし得るただひとつのトポス」と指摘する。そして、相撲を取るものは「裸になりマワシをしめたとたんに普通人とはちがう、チカラビトに変身」して、王侯貴顕の前でも礼法無視で酒杯をかたむけられる、「身分や地位を越えた人びとの混在が当然」だった昔からの東アジアの伝統、と説く。「なるほど」と思う。本書はこの種の刺激的な卓見で満たされている。
本書誕生のきっかけは、相撲好きの友人たちとの料理屋での放談だ。
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photograph by Sports Graphic Number