#862

記事を
ブックマークする

刺激的な卓見に満ちた相撲の日本発展史。 ~宮本徳蔵・著『力士漂泊』~

2014/10/14

 相撲の場は特別な空間だ。天皇の国技館での観戦をひいて、著者はそこが天皇にとっても「酒や折詰料理を口にしている庶民と座を共にし得るただひとつのトポス」と指摘する。そして、相撲を取るものは「裸になりマワシをしめたとたんに普通人とはちがう、チカラビトに変身」して、王侯貴顕の前でも礼法無視で酒杯をかたむけられる、「身分や地位を越えた人びとの混在が当然」だった昔からの東アジアの伝統、と説く。「なるほど」と思う。本書はこの種の刺激的な卓見で満たされている。

 本書誕生のきっかけは、相撲好きの友人たちとの料理屋での放談だ。

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Sports Graphic Number

0

0

0

前記事 次記事