ポイントガードは、1手先のプレーを読むことを求められるポジションだ。ジェイソン・キッドも、その能力に長けた選手だった。
引退後の転身も鮮やかだった。6月3日に、19シーズンの現役生活を終えることを発表したかと思ったら、そのわずか9日後の6月12日に、古巣ブルックリン・ネッツのヘッドコーチに就任していたのだ。デロン・ウィリアムスやブルック・ロペスらオールスターがいて、プレイオフで競えるだけの戦力がそろったチームだ。引退直後、しかもコーチ経験のないキッドの抜擢に誰もが驚いた。
しかし、キッド自身は少し前から引退後にコーチになることを考えて準備をしていたのだという。ダラス・マーベリックスで優勝する前年から、試合に関して気づいたこと、自分ならどんな采配をするかをメモとして書き残してきた。北京五輪では、出番が少なくてもチームのまとめ役として代表入りし、名将マイク・シュシェフスキーの采配を間近で見た。選手キャリアの終盤には、スターターを外れて控えとしての経験も受け入れ、控え選手の気持ちを理解したという。
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