スポーツ医学がまだ未発達だった'80年代、肩・肘の故障は投手生命を脅かす最大要因だった。そのため、連投を強いられる甲子園大会の優勝投手は大成できないと言われ、スカウトは目をつけた選手が予選で敗退することを願っていると、まことしやかに囁かれていた。
しかし、スポーツ医学やトレーニング方法が大きく発達した現在、甲子園大会(夏の選手権)に対する考え方が幾分変わってきた。肩・肘の故障が絶対的脅威でなくなったことにより、甲子園での経験が見直されるようになったのだ。
1試合平均3万4000人(昨年)の観客の前で投げることによってプレッシャーをいち早く経験でき、選手によってはその克服法を知ることもできる。何よりも甲子園大会の決勝戦を経験した投手が、その後プロ野球の世界で大成することが多くなった。
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photograph by Hideki Sugiyama