幾多の修羅場を経験した2人のプロフェッショナルでも、この日だけは特別な思いに浸った。7月4日、テキサス州アーリントン。オリオールズ上原浩治とレンジャーズ建山義紀は、観客席が無人の試合前、外野の片隅で力強く抱擁を交わした。上原が「メジャーで会いたかった」と言えば、建山は「信じられない気持ち」と素直な思いを口にした。
2人の出会いは、1991年春まで遡る。東海大仰星高に入学した直後だった。同じクラスになった2人は、ともに野球部に入部する。中学時代、ボーイズリーグで活躍した建山に対し、地元の中学に野球部がなく、陸上部に所属した上原との差は歴然としていた。当時のことを上原は「僕は軟式しかやったことがなかったし、建山は上級生がいてもメンバーに入っていた」と振り返る。だが、上原が控え投手になったあたりで、建山は上原の天賦の才に気付く。
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photograph by Yukihito Taguchi