これでロンドン五輪出場はなくなった。
7月11日、参議院議員選挙で当選が確実になった谷亮子の姿に、ふとそんな言葉が浮かんだ。
谷は今回の立候補表明時に、「ロンドン五輪の金メダルも目指す」と語った。それに対して批判的な声も相次いだが、両立を目指すのは本人の自由であって、そこに是非はない。むしろ周囲の姿勢や判断が問われる事柄である。
とはいえ、当選したことで、国際大会で活躍するトップの柔道家としての人生は実質的に終わりを告げることになったのではないか。
そもそも、二足のわらじを可能にするのは何か。簡単に言えば、それぞれの分野で抜きん出た力を持つ、地位にいることである。だが谷は、政治のほうはさておき、柔道でもすでにそうした地位にいないのだ。それを知るために、北京五輪日本代表に選ばれるまでを振り返ってみたい。
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photograph by KYODO