12年連続でBクラスに低迷する広島東洋カープ。再生役として白羽の矢が立ったのは43歳の野村謙二郎である。
12球団最年少監督になる野村の現役時代は緒方孝市、前田智徳とともに、「広島三羽ガラス」と呼ばれ、2005年には2000本安打を達成した名選手だった。
成績だけでなく、若手の頃から後輩に対する面倒見の良さ、そして年長者に対しても自分の意見をきちんと伝えることで、チーム内で存在感を発揮。早くから将来の監督候補に挙げられていたものだ。
前監督のメジャー流を撤廃し、広島伝統の猛練習で鍛え直す。
'09年、新広島市民球場が完成した時の目玉として「野村を新監督に」という動きもあったが、広島フロント陣の「1年目は目新しさでお客さんも集まるが、本当の勝負は2年目から。2年目以降は、広島の伝統を守り続けられる監督に任せることが、集客につながる」という思惑で見送られたと聞く。そしてこのオフ、満を持して広島の新監督に就任したのである。
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photograph by NIKKAN SPORTS