第103回箱根駅伝(2027)BACK NUMBER

メンバー全員が“1秒”をけずりだし、熾烈を極めた箱根駅伝予選会をトップ通過した東洋大学に通底する哲学 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byYuki Suenaga

posted2026/10/29 10:00

メンバー全員が“1秒”をけずりだし、熾烈を極めた箱根駅伝予選会をトップ通過した東洋大学に通底する哲学<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

チームでトップとなる1時間01分05秒のタイムを叩き出した東洋大学の宮崎優

 今回の予選会ではもう1校、チームの力を出し切った大学があった。

 それが、12位と躍進した武蔵野学院大学だ。

 これまでは前々回の20位が最高位。前回は26位だったが、大きくジャンプアップした。「今回の目標順位は15位」だったため、予選落ちしたにもかかわらず部員も監督も大喜びだった。

 チームを率いる、坂田和監督が胸を張る。

「うちはもうクロカン全振りで、本当に泥臭い練習を毎週、毎週繰り返してます。そんな中で、佐野(颯人・4年)のように大きく成長する選手が出てきてくれた。彼はチームで一番よく練習しますし、センスではなく練習で伸びたんです。だから、最高のモデルなんですよ」

 留学生のビニアム・テスファイゼラツィオン(4年)が全体3位で勢いをつけると、日本人エースの佐野もまた個人16位と奮闘した。チーム6番手までが1時間4分台以内でまとめたが、9番手10番手の1年生が苦しんで惜しくも順位を下げてしまった。

 まさに選手層の薄さに泣かされた恰好だが、監督はこう言って前を向く。

「うちは大学の規模も400人弱で、おそらくここにいるどの大学よりも小さいと思うんです。自前のトラックもない中で、それでもしっかりと走り込むことでここまで来られた。やっぱり、距離はウソをつかないですね。僕はいつも『凡事徹底』をテーマに掲げているんですけど、それがようやくチームに浸透してきました」

 門限を守り、寮を綺麗に保ち、管理栄養士が作る食事を美味しくいただく。地道な練習を厭わず、毎日練習日誌を書いて、監督と選手の間でコミュニケーションを図る。当たり前のことを当たり前に行うことが、結局は強化への近道なのだろう。

学生連合チームへの期待感

 駅伝に力を入れる大学が増え、そのサポート力が成績に直結する時代において、支援の規模もさほど大きくない無名の大学が成し遂げた躍進は、ちょっとしたどころではないサプライズだった。

 チームが今後、どのように変わっていくかが気になるところだが、今季の武蔵野学院大の物語がこれで終わったわけではない。

 12位に入ったことで坂田監督が学生連合チームのコーチに選ばれ、他大学のエースと互角にわたり合った佐野も2年連続での選出が濃厚な状況である。

 前回は学生連合チームの10区を区間4位相当のタイムで走った(学生連合の選手は参考記録)。殊勲の主将に次の箱根駅伝で走りたい区間を聞くと、力強い言葉が返ってきた。

「もし選ばれたら、今回は1区を走りたいです。集団走の方が得意ですし、しっかりと(先頭集団に)ついていって、最後に上げるレースをしたい。そこで一番目立ちたいですね」

 その意気込みや、良し。予選会を沸かせた大学が、そして選手たちが、本選でどのような活躍を見せるのか。

 1位通過を果たした東洋大はもちろん、目新しいピンクのユニフォーム姿の選手にも、ぜひ注目してもらいたい。

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