酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
喝より…あっぱれ!張本勲の3085安打「イチローの日米通算だけが」「坂本勇人も松井稼頭央も30代でペースダウン」“絶対抜けないNPB大記録”なワケ
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2026/09/13 17:00
イチローの日米通算3086安打の際に現地取材した張本勲。「喝!」「あっぱれ!」だけで論じるにはもったいない、球史に残る安打製造機だった
しかしながら、今は「MLB」という新たなステージが存在している。張本勲レベルのずば抜けた打撃の持ち主であれば、MLBに移籍するのが順当なステップになる。これが「張本勲の3085本」をアンタッチャブルな記録にする本当の要因だといえる。
“じつは9年目で張本超えペース”だったイチロー
「張本勲の3085本」を脅かす可能性があった3人の打者について見ていこう。
〈イチロー(1992~2000)NPB通算1278安打〉
ADVERTISEMENT
張本と同じ高卒で、1992年にオリックスに入団したイチローは94年にシーズン210安打を打ち大ブレーク、以後、張本と並ぶ7回の首位打者を7年連続で獲得。通算打率は.353という驚異的なものだった。
NPBでの通算安打数は7年目の1998年に984安打に達し、同じ7年目の張本の979安打を抜いた。そして8年目の1999年終了時では1125安打、8年目の張本も1125安打とぴったり同数になった。年齢も同じ26歳。まさにイチローは張本の再来だったのだ。
9年目の2000年、イチローは1278安打、同じ年数の張本の1264安打を抜いた。翌年以降もNPBに在籍していたら張本の通算安打を抜いていたのは確実で、試合数の多さ、イチローの持久力を考えれば3500安打、4000安打も可能だっただろう。
しかし野球ファンなら誰でも知っているように、イチローは翌年、阪神の新庄剛志とともにNPB出身野手として初めてMLBに挑戦。MLBでは2004年に262安打を打ちMLBのシーズン最多安打記録を更新するなど通算3089安打を打った。日米通算では4367安打となり、ピート・ローズのMLB最多安打記録4256安打を抜いたともてはやされた。
NPBとMLBでは野球のレベルも環境も異なる。また試合数も増えたとはいってもNPBは143~4試合、MLBは162試合と大きく異なる。
この数字を合算するのは無理があるところだ。とはいえイチローがNPBに在籍していたら、張本勲の通算安打記録を抜いたのはほぼ確実だろう。
松井稼頭央はMLB移籍前まで肉薄していた
〈松井稼頭央(1994-2018)NPB通算2090安打〉
松井も高卒でPL学園から西武に入ったが、1年目は一軍出場なし。2年目45安打、3年目に134安打を打つとここから安打を量産した。リードオフマンの松井は打席数が多かった。6年目の1999年には178安打。通算安打数は実働7年目で1000本を突破、27歳の8年目には1254安打を打ち、1年実働年数が少ないながら同じ年の張本の1264本にあと10本と迫った。


