- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
「よく、来れましたね?」蔦文也の記事に批判、池田高校を訪ねた日…徳島現地で対面した“池田野球部OB”の反応「え、あの記事を書いた人?」
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byNumberWeb
posted2026/07/27 11:01
徳島県立池田高校、野球部練習の様子(2025年撮影)
アーケードを抜けて北西へ200メートルほど、緩やかな坂道を進んだ先に、丘の上につながる階段が現れる。入口に建つ金属製の門に徳島県立池田高等学校と記されている。
100段以上あるその階段を上る。上り切れば着いてしまう。気が沈む。
「お騒がせしました」監督に伝えると…
校内の一角に、蔦監督時代の野球部関連資料が展示された資料室がある。夏にわたしが初めて訪れたときに、校長が案内してくれた場所だ。
ADVERTISEMENT
再訪の2週間前に校長へメールを送り、その資料室をもう一度じっくり閲覧したい旨を伝えていた。すぐに電話があり、取材を継続していることを伝えた。校長の口調から、悪くない感触だと思った。
しかし、前日になって確認のショートメッセージを送ると、反応が変わっていた。電話口で校長は、わたしの訪問に対して、教員の間で懸念の声が挙がったと話した。池田高校の英雄が汚された。そう考えている教員が多いのだという。
もちろん、歓迎されていないことも知った上で、わたしの意思で向かった取材だ。それでも足取りは重かった。
この日、校長は不在だった。見張り番のように一人の男性教諭が同行する形ではあったが、資料室を閲覧することはかなった。
資料室を見終えて、池田高校野球部の監督、井上に挨拶するためにグラウンドへ向かう。井上はわたしの姿を認めると、帽子を取った。
挨拶をしたが思うように会話が続かない。夏の記事についてどう切り出そうか、迷っていた。井上も腹の底では怒っているはずだと考えると、うまく言葉が出てこない。重苦しい空気が流れた。パイプ椅子を並べて座りながら、下校する生徒の挨拶に応える時間がつづいた。
わたしは意を決して「お騒がせしました」と井上に伝えた。すると井上は口角をわずかに持ち上げ、部員に練習の指示を出した。それを終えると井上は座り直し、目線をグラウンドに向けたまま、話しはじめた。

