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甲子園の風BACK NUMBER
甲子園優勝投手が“表舞台から消えた”…末吉良丞の“左肘重症説”は真実か? 比嘉公也監督が言った「投げるかはわかりません」沖縄尚学に現地で密着
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2026/07/25 17:00
昨夏の甲子園を制した沖縄尚学のエース・末吉良丞。今春以降、故障のためマウンドから遠ざかっていた
行政までもが「地元のスター」を求めていた沖縄でのU-18ワールドカップを取材した身からすると、末吉の故障は起こるべくして起こった事象のように思えてならなかった。だとすれば監督の比嘉にも責任の一端はある。もちろん無責任に物語を消費する我々メディアも、大人として負い目を感じるべきだろう。少なくともこの時点まで、筆者は本気で義憤に駆られていた。
「この夏はバッティングを見てください」
6月13日、全国でもっとも早く夏の沖縄県大会が開幕した。
第1シードの沖縄尚学は23日に沖縄水産と対戦した。同日は沖縄戦の“慰霊の日”。約20万人の戦没者を追悼し、平和を誓うための県の公休日だ。沖縄で一番特別な日であり、沖縄尚学の初戦ということもあって黒のかりゆしウェアを着込んだ多数の地元メディアが球場に駆け付けた。
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灼熱の太陽の下、厳粛な雰囲気が漂うなかスターティングメンバーが発表され、スタンドはざわめいた。
末吉の名が「7番・DH」でボードに刻まれたのだ。ベンチ入りこそしたものの、出場は難しいのではと思われた末吉がバッターとしてスタメン。もともとチーム1のパワーの持ち主なだけに、「投げること」以外に問題がないのであればDHでの起用も頷ける。
先発は、昨年春のセンバツを経験している背番号11のサウスポー久高大瑚。このときは130km台前半の速球と変化球を織り交ぜながら、緩急で打ち取るタイプというイメージを持っていた。
序盤、沖縄尚学は打ちあぐねるが、終わってみれば5対0の完勝。まずは順当に初戦を突破した。
試合後、末吉はこう話した。
「出してもらっているからには絶対に1本ヒットを打ちたい気持ちがあったので、3年間の集大成である最後の夏の大会でしっかりヒットを打てたことは良かったと思います」
ピッチングについて聞くと「いやまあ、投げない期間が長くなって、自分の野球観も改善されたというか……。これだけいいピッチャーがいるので、焦ることなく一つひとつ自分の課題をクリアしていって、試合で万全の状態で投げられるように持っていきたいと思います」と返答した。
怪我の状態については「部分損傷、部分断裂……。“疑い”ですけど」と、ほんの一瞬だけ目が泳いだ。頭の回転が速く、冷静沈着な末吉の目が泳ぐのは珍しい。瞬時に思った。この夏の登板は難しいのではないか、と。
最後に末吉が笑顔で言った。
「この夏はバッティングを見てください」
どこか吹っ切れた表情だった。

