ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER

「“実況寿命”への挑戦ですよ」レジェンドアナウンサー・古舘伊知郎(71歳)のいま「俺にとってのドン・フライなんだ」NOAH実況で誓う“衰えの美学” 

text by

堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

PROFILE

photograph byGantz Horie

posted2026/07/16 11:01

「“実況寿命”への挑戦ですよ」レジェンドアナウンサー・古舘伊知郎(71歳)のいま「俺にとってのドン・フライなんだ」NOAH実況で誓う“衰えの美学”<Number Web> photograph by Gantz Horie

7月18日のNOAHビッグマッチで実況を務める古舘伊知郎(71歳)

「Inamura vs 藤田」を選ばなかった理由

――実況もスポーツ要素が強い中、1.1日本武道館は高橋ヒロム vs AMAKUSAのジュニアタイトルマッチで、今回の7.18大阪の丸藤正道vs拳王もアクロバチックな動きが多くなりそうな試合じゃないですか。どの試合を実況するのかは、古舘さんがチョイスしたんですか?

古舘 1月1日のAMAKUSA vs 高橋ヒロムは、ABEMAから言われた試合です。久しぶりのプロレス実況で、しかもNOAHは初めてだったので、どの試合が自分にフィットするかわからないし、「この人の試合をぜひやらせてほしい」って自信持っては言えなかったので。

 でも、今回はABEMAの人たちと、お互い探り探り相談して決めましたね。ボクが「Inamuraもいいし、OZAWAもすごいし、丸藤も拳王もすごい。NOAHはいい選手たくさんいますよね」みたいなことを言うと、NOAHおよびABEMAの人が「さすが、いいとこ目を付けてますね」とか言ってくれるんだけど、自分が知ってるいい選手を挙げてるだけだから当たり前なんだよね(笑)。そんな会話の中で、「例えば、丸藤vs拳王とかどうですか?」って言われて、「いいですね~」なんて言って。そういう腹の探り合いみたいな感じで決まったんです。

ADVERTISEMENT

――でも7.18大阪は、例えばYoshiki Inamura vs 藤田和之というカードも注目されてるじゃないですか。藤田和之は“猪木イズム最後の継承者”と呼ばれてますから、ここは古舘節の出番じゃないかと思ったりするんですけど、そこにはあえて行かないんですね。

古舘 今のプロレス、今のNOAHを実況するんだったら、“そこ”に逃げちゃいけないっていう気持ちは自分の中にあるんですよ。今、おっしゃったように、藤田だったら「猪木の愛弟子」というのをフックにして、自分の手札でいろいろ話を広げられるかもしれない。Inamuraだって、あのウエスタンハットを被ったコスチュームからスタン・ハンセンの話をして、「ブレーキの壊れたダンプカーだ」とか言ったりもできる。

 でも、ボクはむしろそれはやらないほうがいいのかな、と。そうすると自分に甘えて古臭いことばっかり言い出して、また“過去の自分との同窓会”をやっちゃうことになるから、そんなことはファンは求めてないと思うんで。ガンツさんがそう言ってくれるのはうれしいし、そのほうがやりやすいんだけど、あえて荒野を往くと。それで討ち死にするなら、荒野で野垂れ死するのみ。実況野垂れ死ですよ!

【次ページ】 「俺にとってのドン・フライなんだ」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#古舘伊知郎
#新日本プロレス
#丸藤正道
#拳王
#アントニオ猪木
#プロレスリング・ノア
#ドン・フライ

プロレスの前後の記事

ページトップ