バレーボールPRESSBACK NUMBER

“平凡な妹”はなぜ日本代表に?「今はお金より環境」古賀紗理那を目指した佐藤淑乃にセッターの姉が贈った言葉「真佑ちゃんにくらべたらまだ粗さもあるけど」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

PROFILE

photograph byL:ALEEZA AICHI,R:JVA/AFLO SPORT

posted2026/07/11 11:01

“平凡な妹”はなぜ日本代表に?「今はお金より環境」古賀紗理那を目指した佐藤淑乃にセッターの姉が贈った言葉「真佑ちゃんにくらべたらまだ粗さもあるけど」<Number Web> photograph by L:ALEEZA AICHI,R:JVA/AFLO SPORT

佐藤淑乃(右)の活躍は、姉・彩乃にも大きな刺激を与えている

 パリ五輪を最後に現役引退した古賀と一緒にプレーする時間は限られていたものの「紗理那さんから盗めるものは全部盗みたい」と練習中から目で追い、わからないことは直接質問した。

 彩乃が「古賀さんがたくさんのことを教えてくれたと聞いた」と感謝するように、メンターの助言を受けた淑乃はメキメキと成長し、古賀と同じ背番号「2」をつけ、1年目からエースとして活躍。新人賞を獲得した。

 ネット越しに対峙した彩乃は「試合を重ねるごとにびっくりするぐらい伸びた」と妹の成長に目を見張る。

ADVERTISEMENT

「最初のころはここでミスしてくれそうだなと思うところで実際にミスしてくれた。でも、シーズン終盤になるにつれて、大事なところで攻めたサーブを打ってくるし、相手からすれば想定外のことをしてくるようになったんです。『私がエースになる』という自覚が出てきたのが見えたし、今までの自分の枠から飛び出したなという感じがしました」

 そして、活躍の場は世界へと広がった。

 3年前はリリーフサーバーでの出場にとどまっていたものの、昨年の世界選手権では日本代表・主将の石川真佑の対角に入るアウトサイドヒッターとして主軸を担い、3位決定戦では「憧れ」と公言するブラジル代表のガビことガブリエラ・ギマラエスとエースとして対峙した。フルセットの末に敗れ、メダルには届かなかったが、一度崩れてもそのままで終わらず、再び盛り返す。その姿に「覚悟を感じた」と姉は笑みをたたえる。

「真佑ちゃんにくらべたらまだまだ粗さも波もありますけど、それも伸びしろととらえて、エネルギーにして頑張っているんだなと、見ているだけでも伝わってきました」

 SVリーグでも、昨季はレギュラーシーズンでチームを首位に導き、MVPも受賞した。

 開催中のネーションズリーグでも、強豪国を相手にエースとして存在感を発揮し続け、8月にはロサンゼルス五輪の出場権を懸けたアジア選手権を控える。日本代表にとってまさに大一番が待っているのだが、姉には別に気掛かりなことがある。

 淑乃は来季から初の海外移籍を実現させた。今季の日本代表シーズンが終わると、淑乃はイタリア・ミラノで新たな生活をスタートさせる。選手として「絶対に海外に行ったほうがいい」と後押しした姉は、一方で、あまりに頼りない妹がたった一人で異国での日常生活を本当に送れるのか心配で仕方がないという。

【次ページ】 「忘れ物が本当に多い(笑)」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#佐藤彩乃
#アリーザ愛知
#佐藤淑乃
#NECレッドロケッツ川崎

バレーボールの前後の記事

ページトップ