Number ExBACK NUMBER
母はビーチバレーの日本女王、兄はトライアスロン全米王者…妹もレスリングで全米制覇!? 超サラブレッドが「まさかの競技」でプロ挑戦を目指すワケ
text by

北川直樹Naoki Kitagawa
photograph byNaoki Kitagawa
posted2026/07/07 11:00
現在、米NCAA1部のラマー大学でラインバッカーとして活躍する吉川大紀。母は日本女王、兄妹は全米王者というアスリート一家だ
家族は…日本女王に全米王者のアスリート一家
小学6年生で渡米しアメフトと出会い、高校時代は日本に戻ると佼成学園高校で全国制覇。母はビーチバレーの元日本王者で、兄はトライアスロンの全米王者。妹はレスリングで、世代別の全米チャンピオンに輝いている。
経歴も、身体能力も、傍から見れば申し分ない。それでも吉川はいま「大きな壁」を感じているという。
「ラマーでも“1.5軍”までは行けました。でも……これ以上はどうにもならない」
ADVERTISEMENT
1.5軍――スタメンではないが、ローテーションでほぼ1軍の選手と同等の出場機会を得られる立場ということだ。
NCAA1部のチームで1軍になるというのは、簡単に言えばNFLに辿り着くためのスタートラインである。そこに近づけそうで、近づけない。その吉川の苦悩にこそ「日本人がなぜNFLという舞台に辿り着けないのか」という問いの答えが潜んでいるように見えた。
◆
吉川家が米テキサス州ヒューストンに移り住んだのは2016年の暮れのことだ。
父親は国際物流系の会社の駐在員で、海外勤務の多い部署だった。家族で米国に渡るのは初めてだった。
「最初に行った時、飛行機で泣いたのは覚えていますね」
「寂しかったんでしょうね」と本人は言う。
しかし、実際に現地に到着すると、これまで見たことのなかった風景に心を奪われた。テキサス州の中学校にグレード6(※米国で主に11歳~12歳の子供が通うクラス)として通い始めると、翌年の春、近所の友人にアメフトチームのトライアウトに誘われた。
もちろんルールは何も知らなかった。冬のトレーニング期間がやけに長くて、みんなで走ってばかりいた。ただ、日本語が通じない分、走ることで通じあう何かがあった。

