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「気にせず、自分らしいプレーを」リーズ田中碧、プレミア2年目の試練。地元紙とサポーターが語る「もったいない」才能の現在地

posted2026/04/26 20:00

 
「気にせず、自分らしいプレーを」リーズ田中碧、プレミア2年目の試練。地元紙とサポーターが語る「もったいない」才能の現在地<Number Web> photograph by Getty Images

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 リーズでも、非常に人気の高い田中碧。移籍1年目だった昨季は、プレミアリーグ復帰の原動力となったのだから、当然と言えば当然ではある。伝統的には質実剛健なイメージが強い古豪にあって、ファンに「洗練された」とも形容される日本代表MFは、「チャンピオンシップ最高」にとどまらず、「2部にはもったいない」とまで称されていた。

 人気者である様子は、4月26日の今季FAカップ準決勝チェルシー戦(0—1)でも垣間見ることができた。キックオフに先立つメンバー発表時、ウェンブリー・スタジアムの半分を占めたリーズ陣営から起った歓声の大きさは、主将のイーサン・アンパドゥにも、主砲のドミニク・カルバート=ルーウィンにも負けていなかった。

 カップ戦は、今季の田中にとっての主戦場だ。プレミアでの先発は、34試合消化時点で11試合。平均出場時間は、この日は後半29分までプレーしたFAカップでの約76分に対し、約45分となっている。

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 ダニエル・ファルケ監督は、アンパドゥとアントン・シュタッハか、イリア・グルエフとの2枚を中盤中央に好むようになった。第32節マンチェスター・ユナイテッド戦(2—1)から、4試合連続の先発でFAカップ準決勝を迎えた田中ではあるが、その背景にはシュタッハとグルエフの故障もある。純粋な守備力では、CBもこなすアンパドゥはもとより、シュタッハ、グルエフ、そして、もう1人のショーン・ロングスタッフも、田中を上回ると言わざるを得ない。

 プレミア初挑戦の移籍2年目に、序列が5番手に落ちたとも理解できる田中について、英国人のリーズ番に意見を聞いてみた。ウェンブリーの記者席で近くに座っていたグレアム・スミス記者は、リーズの地元紙『ヨークシャー・イブニング・ポスト』でチーフ・フットボールライターを務める。

「守備の責任感というよりも、守備を含むゲームマネジメントの問題だろう。かなりエモーショナルなタイプなのか、気持ちが先走っているようなプレーがミスとなって、チームに悪影響を及ぼす試合がいくつかあった」

 彼の言う通り、例えば、終了間際に同点ゴールを決めていながら、監督からお小言をいただいた昨年12月のリバプール戦(3—3)では、そのファルケの言葉を借りれば、自軍が2点ビハインドから追いついた5分後の「守備ブロック放棄」が、敵の3点目に繫がった。序盤戦の第6節ボーンマス戦(2—2)では、残り数分で投入されたが球離れが悪くボールロストを招き、帳消しにせんとして犯したファウルでFKを与え、逃げ切り失敗に絡んでしまってもいた。

 但し、スミス記者はこう続けてもいる。

「失敗から立ち直って、パフォーマンスには改善が見られる。開幕当初には勝てなかったようなデュエルでも勝てるようになった。周りの故障もあって、タナカの重要性は増している。この晴れ舞台でも先発のチャンスを掴んでいるように、良いタイミングで状況が上向いてきたようだ」

 しかし、この日の結果は、今季2度目の監督交代で揺れるチェルシーを倒し損ねたチーム全体と同様、及第点止まりの出来に終わった。滑り出しは快調かに思われた。キックオフから19秒で、ボール奪取からカウンターの起点となり、リーズが相手ペナルティエリア付近でFKを手にしている。だが、自ら蹴ったFKは、大きくバーの上を超える“無駄遣い”となった。

 前半23分に先制を許すと、自軍ボックス内で俯く田中の姿。ヘディングでネットを揺らしたのは、自信を含むリーズの2ボランチが立ち上がりから捕まえられずにいた相手トップ下、エンソ・フェルナンデスだった。

 あわや2失点目という場面は、その7分後。田中が、自軍エリア手前で受けた横パスの処理に手間取る間に、相手ボランチのロメオ・ラビアに詰め寄られてボールを失ったが、敵の枠外シュートで事なきを得た。

 後半、4バックに変更したリーズは巻き返しの兆しを見せる。田中にも、同20分に得点機が訪れた。距離不足のクリアボールが、打ちごろの高さと速度で落ちてきたように見えたのだが、右足で捉え損ねたボールは枠外へ。ボックス内でボレーに失敗した当人は、天を仰いで悔いていた。

 試合後、記者席近くのリーズ・サポーター席に残っていた青年に、田中の印象を尋ねると、ロゴ入りの黄色いバケットハットをかぶった彼は言った。

「自信の問題なのかな、タナカは。ミスがあった試合では、悪くなる一方。今日も、そのパターンだった気がする。気にせず、自分らしいプレーをしてくれれば十分なのに。それだけの能力があるんだから」

 その意味では、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた、E・フェルナンデスとは好対照だったかもしれない。チェルシーのアルゼンチン代表MFは、良くも悪くもふてぶてしい。今夏のレアル・マドリード移籍を仄めかすような発言で、クラブから2試合出場停止を言い渡されたのは準々決勝の直前。だが、処分明け3戦目の準決勝では、ゴールを決めると胸のエンブムを指差して忠誠を示唆。後半、あの手この手で時計の針を進めたチェルシーが、コーチから昇格して暫定指揮を執るカラム・マクファーレンの指示を必要とした際には、当日のキャプテンとして、GKロベルト・サンチェスに時間稼ぎで倒れるように合図を送ってもいた。

 目に余る遅延行為に、アンパドゥが相手ベンチ前で文句をつけていた際、田中は自軍ベンチ脇で水を飲んでいた。この「我関せず」は、構わない。試合後は、会見での指揮官も、プレミアでのサバイバルへと意識を切り替えてサバサバしていたが、「リーグ戦に集中したい」と言いながら足を進めた田中のミックスゾーン素通りも、残念であるが、それでいい。田中が、細かいことは気にせず、自信を持って残る4試合を戦い終え、W杯でも自信を深めて、来季プレミアに戻ってきてくれるのであれば。

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