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「1試合1試合をカップ戦の決勝だと思って」コベントリー坂元達裕、昇格への折れない意志
posted2026/02/28 20:00
text by

山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
コベントリーの坂元達裕は、2月28日のストーク戦(2—1)で後半にベンチを出た。彼が、「毎試合、自分のサッカー人生を懸けて試合をすると意識している」と言っていたのは、チャンピオシップ(2部)での昨季最終節後。チームは、最後のプレミアリーグ昇格枠を争うプレーオフ(3~6位)進出を決めた。だが最終的には、準決勝でサンダーランドに敗れてしまう(合計2—3)。坂元自身は、ホームとアウェイの2試合ともフル出場で、チーム随一の出来。前シーズン終盤に負った、腰椎の横突起骨折という大怪我を克服しての移籍2年目に、28歳で味わう無念となった。
それから9カ月、坂元が右ウイングに定着している今季のコベントリーは、自動昇格(トップ2)争いをリードしている。当人の決意は、プレーを見れば明らかだ。ピッチ上で最も小柄な部類でありながら、逆サイドからクロスが入れば、猛然と走り込んでヘディングシュートを試みる。体を張って五分五分の競合いに勝ったり、果敢なプレッシングでボールを奪い返したりすれば、鋭い切り返しで敵を抜き去った時と同じように、サポーターたちから拍手喝采が沸き起こる。
チャンピオンシップは、「世界で最も競争の激しい2部リーグ」と言われるタフな戦いの舞台だ。リーグ首位で終盤戦を迎えるまでの過程では、いずれも坂元が先制点を決めた、ブリストル・シティ戦(2—0)とプレストン・ノース・エンド戦(3—0)のような完勝だけではなく、しぶとく手中に収めた辛勝もあった。
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その1つとして、第35節でのストーク戦も存在する。コベントリーは、中位チームから早々にリードを奪ったが、ハーフタイム直前に相手1本目のコーナーキックから追いつかれた。ホームでポイントを落とす事態を避けるためには、後半アディショナルタイムの決勝点を必要とした。
坂元は、後半18分に投入され、攻守のハードワークで巻き返しに貢献している。絡んではいなかったのだが、トップ下のジャック・ルドニが勝ち越しゴールを決めると、まるで自らが決めたように喜びながら走り寄る姿も印象的だった。得点者の下に辿り着くと、背後から控えめなハグで祝福するあたりも坂元らしく思えたが、ほどなくして試合終了の笛が鳴ると、両の拳を握り締めて短く吠える姿があった。
この折れない「チームの心」こそが、あと“二歩”でプレミア昇格を逃した昨季とは違うように感じられる。坂元自身も言っている。
「チームの目指すべきものがより明確になって、今までにないような団結感を感じますし、こういうタフなリーグなので、チームとしての気持ち、めちゃくちゃ大事なんですよ。他のリーグよりも、そういう部分は凄く求められると思う。なおかつ、クオリティのある選手が多いので、ハードワークも、切り替えもしっかりできれば、僕らは自ずとトップにいるべきチームだと思う」
コベントリーは、昨季の悔しさをバネに逞しさを増している。前半戦から独占していた首位の座を、後半戦に入って明け渡したこともあった。しかし、チームとしての芯がぶれるような事態には至らず、単なる「ミニ・スランプ」の域に留めて脱出に成功した。
そのチームに、25年ぶりとなるプレミア復帰への推進力を与えている日本人ウインガーにとっては、晴れて目標達成となれば、クラブとの現契約最終年であり、年齢も30歳になるシーズンを念願のプレミア戦う来季がやって来ることになる。謙虚だが、芯は誰よりも強いと感じさせる右ウイングの“ファイター”は、最後にこう決意を語ってくれた。
「1試合1試合をカップ戦の決勝だと思ってやっていかないと(リーグ)優勝、(プレミア)昇格はできないと思っています。浮き足立ってなどいないですし、余裕を感じることなんて全くない。常に危機感を持ちながら毎試合、チャレンジしていきたい」
