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「サイトー、凄い人気だよ」クラブ職員がチャントを口ずさむ斉藤光毅、アイドル的人気から主戦力へ。2026年W杯への進化

posted2025/12/09 20:00

 
「サイトー、凄い人気だよ」クラブ職員がチャントを口ずさむ斉藤光毅、アイドル的人気から主戦力へ。2026年W杯への進化<Number Web> photograph by Getty Images

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 12月9日、チャンピオンシップ(2部)のクイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)が、ホームにバーミンガム・シティを迎えた第20(2—1)でのこと。筆者にとっては、今季初のQPR戦取材だった。メディア控え室に入ると、顔見知りのスタッフが、「サイトー、凄い人気だよ」と声を掛けてきた。「チャント、聞いたことあるか?」と訊くので、「名前を連呼するやつは聞いたことがある」と答えると、彼は「斉藤がウイングを駆け上がり、ゴールを決めて、レンジャーズを盛り上げる!」と、いきなり口ずさんだ。クラブ職員から、所属の日本人選手について話し掛けられることは多々あるが、応援歌まで教えられたのは初めてだった。

 ベルギーのロンメルSCからレンタル移籍中だった昨季も、斉藤光毅がスピードとテクニックを駆使したドリブルに入れば、ホーム観衆は沸いていた。だが、今季の人気は、その上をいく。8月後半に完全移籍が決まり、2度目のQPRデビュー戦となった第4節チャールトン戦(3—1)で、独走ゴールを披露した衝撃も手伝っているのだろう。ジュリアン・ステファン新体制下のチームに、今季初勝利への勢いをもたらす勝越しゴールでもあった。

 但し、開幕前の時点では、ファンの間で「数字が物足りない」と言われていた選手が斉藤でもある。昨季の数字は、リーグ戦39試合出場で3ゴール2アシスト。アイドル的な人気者と、主力級の実力者は別物ということだ。

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 その意味でも、バーミンガム戦での79分間は、意義ある勝利(2—1)への貢献となった。QPRが、後半アディショナルタイムに追いつかれ、土壇場で勝ち越したドラマに関わってはいない。しかし、ボール支配に勝る相手との一戦で流れを引き寄せたのは、斉藤が今季2アシスト目を記録した前半40分の先制点だった。

 CKの流れから、斎藤がファーサイドへと放り込んだ絶好のクロス。CBで主将のジミー・ダンが、ヘディングで捉えた。

「ずっと、アシストとかゴールという結果を残したかったので、凄く嬉しかったですね。ああいうクロスが増えていけば、自分の評価も上がってくると思う」

 試合後、そう話してくれた斉藤は、きっかけとなったCKの獲得にも寄与していた。左アウトサイドで、自らが敵のプレッシャー下でボールをキープした結果としての1本だったのだ。距離を詰めてきた相手選手には、2ボランチの一角で先発していた岩田智輝もいた。

「チャンピオンシップの中でもめっちゃ強い感じだと思うので、凄くやりづらかったですけど、負けたくないし、そこは勝っていかなきゃいけない。そういうなかで結果を残せるように、もっとやっていきたいなと思います」と、斉藤。

 一方、後半には右SBに回り、斉藤とのマッチアップが増えた岩田は次のように言っている。

「ボールの隠し方とか、上手いなと思いました。賢いなと。ファウルのもらい方にしても。そういう賢いプレーで、サイドでも時間を作れる選手だなと思いましたね。1点目のアシストはす凄くいいボールでしたし、あのクロスでちょっとゲームが苦しくなった」

 この日の岩田は、3ポジションをこなして万能性も発揮していたのだが、今季の斉藤も、新監督には左右のウイングに加えてトップ下でも試されている。

「いろいろなポジションの中でも、自分がこういうプレーヤーだと思ってもらえたり、自分で確信を持つことができれば、どこのポジションでも同じ(レベルの)プレーはできると思うので、そこは意識していきたい」

 そう語る斉藤にとって、新体制下のQPRは好ましい環境と理解できる。ステファンは、マルティ・シフエンテス前監督(現レスター/2部)と同じポゼッション志向ではあるが、縦に速い攻撃や、選手のリスクテイクをも奨励する。集団を重んじながら、「個」を輝かせることもできる監督でもあり、斉藤は「別のチーム」とまで在籍2年目のQPRを表現している。

「まず、戦術とかサッカー自体が全然違う。あと、チームの雰囲気も。なんか別のチームになった感じはありますね。そのなかで、途中から出たり、先発になったり、まだ自分の役割が確立し切れていない感じなので、そこを確立すれば、思うようなプレーができると思う。そこはしっかり狙わないといけないですし、そうならないといけない」

 試合を通して改善していくべき部分もある。極上の1本でゴールを演出したクロスにしても、前半早々に放った最初の1本は、距離も高さも足りずに難なくクリアされた。終盤の交代間際は「むちゃくちゃキツかったです」と苦笑していたウインガーには、より高いインテンシティを求められる新体制下で、90分間仕事をする体力と集中力も必要だ。

 そうした2年目の精進の先には、2026年W杯がある。今年10月に日本代表デビューを果たした当人も、もちろん意識している。

「オランダとチュニジア、どこと当たっても難しいと思うんですけど、多分、向こうからしたら日本戦が一番難しいと思っている。そこは自信を持ってやれればいいかなと思うし、まずは自分が選ばれなきゃ、こんなこと言っていられないので、しっかりと結果を残して選ばれて、そこから(さらに)結果を残せば。そうすれば世界が変わると思うので、本当に狙っていきたい」

 そのためにも、所属クラブの人気者から主戦力へ。チームは、団子状態のリーグでバーミンガムとの中位対決に勝ち、6位に浮上した。下馬評以上の昇格プレーオフ出場圏(3~6位)争いを期待させる今季QPRで、斉藤自身の進化も注目される。

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