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「たった一度のチャンスでW杯日本代表に」塩貝健人(21歳)が明かす”運命を変えた12分間”の舞台ウラ「簡単じゃないことも、もちろんわかっていた」
posted2026/06/13 11:00
史上最小となるA代表1試合でW杯代表入りを果たした塩貝健人(21歳)
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
発売中のNumber1145・1146・1147号に掲載の[シンデレラボーイの激白]塩貝健人「人生を拓いた12分間」より内容を一部抜粋してお届けします。
“規格外メンタル”のストライカー
チャンスはたった一度だけ、それも12分間と限られた時間しかない。
北中米ワールドカップのメンバー入りへ、A代表デビューなのにラストチャンス。「無理ゲー」に近くとも、逆にアドレナリンがあふれ出す。それが塩貝健人という“規格外メンタル”のストライカーだ。
入れ替え戦に敗れ、所属するヴォルフスブルクのブンデス2部降格が決まった翌々日、彼は日本代表に合流するために羽田空港に降り立った。心配するまでもなく、気持ちの切り替えは既に完了済みだった。
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「(降格した)試合当日は悔しくて腹が立ちすぎて。延長後半からしか出られなかった状況や自分に、納得がいっていない。ただ終わったことをいつまでも気にしてもしょうがない。あまりに悔しいこの経験があって良かったと思えるようにするだけなので」
ワールドカップで活躍するという決意を一層強めていた。羽田空港から都内まで移動する車中で実施するインタビュー。“運命を変えた12分間”をテーマにしたいと伝えると、彼は軽く頷いた――。
「日々の行ないの先に、ワールドカップがあると思って」
異色の経歴を誇る。横浜FCジュニアユースからユースに昇格できず、進学した國學院久我山高でもその名を知られるようになったのは高3からだった。
速く、何より勝負強く。当時関東3部の慶應義塾大ソッカー部でのプレーに目を留めた横浜F・マリノスから内定を得たものの、大学2年時の2024年夏にオファーを受けたオランダ1部NECへ加入を決める。そして2年目の今季、約4カ月間で公式戦9ゴールを挙げてブレイクした。
A代表歴はないとはいえ、北中米ワールドカップを現実的な目標に置いてきた。昨年12月の抽選会で〈オランダ来い!〉と願ったらそのとおりに日本と同組になった。〈もうこれ俺やん!〉と縁を感じた。
「日々の行ないの先に、試合の先に、ワールドカップがあると思ってやってきました。選ばれたこともないのに目指すというのはどこかフワフワしているような目標でもあった。でも3月に呼ばれたことで、実現性が高まって、より明確になった。1回の遠征だけで本大会に行けるのは、簡単じゃないことももちろん分かっていました」
欧州5大リーグで己の実力を証明できれば必ずや近づけるはず。冬に移籍したヴォルフスブルクで途中出場での起用が続くなか、インパクトを与えるプレーを心掛けて最後の選考機会となる3月のイギリス遠征に滑り込んだ。
またとないチャンスに高揚はあっても浮つくことはなかった。チームにとって自分が必要だと示さないと意味がないことも理解していた。

