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「バットは重くて、長いほうがいい」高校野球、あなたの知らない新トレンド「大阪桐蔭バッターはあえて“100gも”重たくしていた」「SSKが流行中」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byJIJI PRESS
posted2026/04/14 11:03
センバツ準々決勝の英明戦。ソロホームランを放った大阪桐蔭・谷渕瑛仁。そのバットから見える新トレンドとは?
星 いや、こんなの初めてみました。これだけ重くなったら当然、総重量にもかなりの影響を与えるので、メーカー側もあえて表記したのだと思います。谷渕君が使っていたバットのグリップはLでした。新規準バットは幹の部分だけで900グラムくらいになってしまうので、単純に計算すると約1キロになります。メーカーの人にも確認しましたが、やはり、それくらいあるんだそうです。規定は「900グラム以上」なのに、わざわざそんなに重いバットを使っていたんです。
ホームラン9本中4本「SSKが流行中」
――1キロというと、もはやトレーニングバットの部類に入る重さですよね。去年の春、智弁和歌山の下位の打者が1200グラムの木製バットを使っていて話題になりましたが、あれはそもそもトレーニングバットでした。
星 あのバットは、遠くへ飛ばすというよりは、反対方向にするどい打球を打つことを目的として使っていましたよね。重いバットは当てただけでも強い打球が行くので。でもSSKのバットは飛ばすために、あえて重くしているわけです。ただ、おそらく使っている選手は、そんなに重いバットだとは気づいてないのではないでしょうか。「重めだな」くらいの認識はあるとは思いますが。
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――そんなものですか?
星 大阪桐蔭はSSKのメインモニター校のうちの1つだろうから、試作段階でいろいろなバットを試させてもらっていると思います。メーカー側は選手たちの声が欲しいので、そうやって製品化する前にいくつかの高校にバットを使ってもらうものなんです。谷渕君が使っていたオーダーバットは自分でリクエストしたというよりは、オーダーならこんなのもできますよと持ってきてもらったバットの中から「これいいな」という感じになったのではないでしょうか。
――バットのグリップが大きいことのメリットは何なのですか。
星 総重量は重くなるんですけど、感覚的には軽くなるんですよ。重量バランスの問題なんでしょうね。一度、グリップエンドのないバットを振ったことがあるんですけど、めちゃめちゃ重く感じました。それくらいグリップエンドって大事なんです。じつは大阪桐蔭の先発メンバーは全員、SSKを使っていて、谷渕君以外は市販されているタイプのものだったのですが、いずれもグリップエンドが大きいモデルでした。カタログには「900グラム以上」と書いてありますけど、実際にはかってみると、だいたい940グラムぐらいはある。グリップが大きいので通常のものより重い。でも、振ってみると、グリップエンドの薄い910から920グラムくらいのバットより軽く感じるんですよ。その感覚の差は歴然です。当然、力学的には重い方が飛距離は出ます。この春は9本中4本がSSKのバットでしたが、実は昨年秋の神宮大会は10本中6本がSSKだったんです。あの頃から「今度の甲子園はSSKが席巻するかも」とは言われていました。中京大中京の注目スラッガー、荻田翔惺君もSSKを使っていましたね。2回戦の帝京戦で左中間のいちばん深いところに放り込んでいましたけど、どこまで飛んで行くんだろうというような打球でした。
「魚雷バットはもう終わりました」
――大谷翔平選手(ドジャース)も年々、バットを重く、長くしているみたいですけど、やはり操作性よりも飛距離を出したいというのが現代野球のトレンドなのでしょうか。



