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「守られているだけ」王者・青野未来が“じつは揶揄されていた”過去…人気女子レスラーを強くした“ライバル関係”「桜井麻衣とタイトルマッチなんて…」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2026/04/13 17:02
マリーゴールドの頂点、“真紅のベルト”ワールド王者の青野未来
ショックだった“桜井コール”
悔し涙を流したこともある。昨年1月3日の大田区総合体育館大会。桜井麻衣との対戦でUN王座を奪われた。敗戦と同じくらいショックだったのは、観客の桜井コールだった。観客は自分ではなく挑戦者を支持したのだ。
桜井は青野の後輩だった。アクトレスガールズでのデビュー戦で相手を務めたのが青野。しかし桜井は路線変更を前に団体を離れ、スターダムに移籍した。
スターダムは女子団体で最も層が厚く、注目度が高く、試合ぶりも激しい。桜井はひたすらボコボコにされた。所属ユニットのメンバーはジュリア、朱里、なつぽいなど“できる”選手ばかり。デビューが遅い桜井は“お荷物”として見られた。
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結果が出ない中で、ユニットのリーダーであるジュリアは毎日のように練習を見てくれた。
「これだけやってるのに、なんでうまくいかないんだ……」
ジュリアがそう言って自分のために泣いてくれた時のことを、桜井は今も覚えている。本当に少しずつ、何度も何度も泣きながらファンに自分を認めさせて、桜井はスターダムに定着した。6人タッグのベルトも巻いている。
「いつのまにか後輩からライバルになってた」
マリーゴールドでも順風満帆とはいかなかったが、世界最大の団体WWEに入団するジュリアの壮行マッチで“狂気性”を前面に出す闘いを展開するなど評価を高めている。
旗揚げ会見を終えた時の桜井は、旧知の元アクトレスガールズ勢について「やっぱり意識はしますね」と言っていた。といって負けるつもりもなかった。青野たちだけでなく、どの選手にも。スターダムでそれだけの経験をしてきたという自負があった。
青野も桜井を意識していた。
「応援してましたし、スターダムでの活躍は嬉しかった。でも悔しい気持ちも強かったです。メディアを見ても目立ってましたから。私はもがいている真っ最中だったから“何やってるんだろう”って。
マリーゴールドで再会してからは、いつのまにか後輩からライバルになってましたね。UNのベルトを取られたのは、私にとってとてつもないことでした。桜井がもがいてきたのも知っているけど、デビュー戦の相手をした選手にタイトルマッチで負けたわけですから……」

