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「顔じゃねえんだよ」ブーイングを浴びても…玖麗さやかはなぜ上谷沙弥に“執着”するのか?「キャリアは関係ない」「すべてを奪い返す」認めさせた挑戦
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2026/03/20 17:01
玖麗さやかは4月26日、横浜アリーナで上谷沙弥の持つ赤いベルトに挑戦する。敗れればコズミックエンジェルズ解散という悲壮な覚悟を背負って
玖麗は上谷の対角に立っている。
「去年の2月に宇都宮で負けたら、こっちに来いというのがあったんですが、対角に立ちたいという気持ちの方が強い。横浜アリーナで上谷沙弥はすべてを奪い、いろんなことを教えてくれた師匠、先輩のたむさんも内包して、トップに居続けている」
変化した上谷沙弥の対応「何を懸けるんだ?」
玖麗は挑戦表明の後、さらに上谷に執着するようになった。拒否されれば拒否されるほど、執拗に上谷を追いかけるようになった。結果、確実に上谷の視界に入ってきた。上谷に存在を認めさせたいという執念が実った形だ。
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上谷の言葉は「帰れ」から次第に「やってもいいよ」に変化して、やがて「懸けるものは何か」という宿題が玖麗に出された。上谷が玖麗に付き合い始めるようになった。
今の玖麗に決定的なものが足りていないのは事実だった。それを補うように、決意としつこさでアピールしてきた。もちろん結果も試合内容も大事な要素だろう。今回のシンデレラの結果も重要だったが、連覇は叶わなかった。前回はシンデレラの願いでの挑戦だったが、今回、玖麗を上谷に認めさせるうえで決定的なものは何なのか。
「何を懸けるんだ?」という駆け引き、取引があるだろうということは玖麗も予測はしていた。
「懸けるものとして、私が持っているものって何だろう? 上谷沙弥が価値を感じるものって何だろう? パッとは思いつかない。私が持っているもの、頭の中に浮かんでいるものはありましたけど、口に出すことはしなかった」
玖麗という存在を認めさせたいから、そういう状況は望んでいなかった。“引退を懸ける”なんて言うなよ、と上谷には釘は刺されていた。
「本当は、何かを懸けろと言わせずに、玖麗さやかを認めさせたい。チャンピオンがどう出てくるのかはわからなかったですけれど、そういう状況にならないようにと願ってはいた。でも、そういう状況になってしまった」
「気持ちで戦う方が、自分に合っている」
「私は試合中に難しいことを考えながらテクニックを見せるタイプじゃないんです。格好悪いですけれど、関節技は苦手」
玖麗はまっすぐなプロレスをする。スリーパーホールドやタックルで正面からぶつかっていくタイプだ。
「首を絞めてスタミナを奪う。テクニックよりも気持ちで戦う方が、自分に合っている。そもそもプロレスを始める前に見たプロレスの数が少なすぎて、スリーパーホールドは格闘技、プロレスと無縁の私でも知っている技でした。練習生の頃、最初の方で教えてもらいましたね。誰かの技を見てというのではない。スピアー(タックル)は海外の選手がやっていたのを見て、これやりたいと思って、練習を見てもらいました」


