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靭帯損傷で春高絶望…目標を失った高校生が“入院中”に奇跡の再会「たっちゃんはいつもポジティブでした」金蘭会マネージャーを救ったバレー日本代表
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2026/01/25 11:01
7年ぶりに春高バレーを制した金蘭会高校。夏に大ケガを負った枩田七海(3年)はマネージャーとしてチームを支えた
退院後、チームの全体練習に加わることはできなかったが、目標の日本一に向けて日々努力を重ねる選手たちと同じ体育館で、一人黙々とリハビリに取り組んだ。
ただ、一方で、春高のコートに選手として立つことは難しい現状も理解していた。それならば今の自分がームのために何ができるか。熟慮した末、たどり着いたのが「マネージャーとして支える」という選択だった。
練習時のサポートだけでなく、試合になればスコアをつけて、セットごとのスタートローテーションを書く“目玉”と呼ばれるラインナップシートの記入もマネージャーの仕事。単純作業に見えるが、ただ記録するのが目的ではなく、タイムアウトや交代の回数、サーブ順に間違いがないか確認も含まれている。今や当たり前のようにこなしているが、ミスの許されない仕事であり、枩田自身も「最初は大変だった」と苦笑いを浮かべる。
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「全部やったことがないものばかり。練習試合の時から(スコアをつける)練習をしたんですけど、めっちゃ難しくて。目玉を書く時も、試合中だから早く審判に渡さないといけないと焦るけれど、焦ってミスをしたら絶対にダメ。後輩マネージャーから『出す前に何度も確認して下さい』と言われてきたので、自分で何度も見て、池条(義則)先生にも確認してもらう。マネージャーって、こんなに大変なことをやっていたんだと初めてわかったことばかりでした」
「枩田の声が心の支えでした」
試合になれば選手目線でアドバイスもした。「思いきりプレーさせてあげたかった」という枩田の声かけに「助けられた」というのは同じミドルブロッカーの泉谷美乃莉だ。
「練習でできることが試合で出せないのが自分の課題。そこで枩田が『もっと攻めていいよ』とか『今のはよかったし、苦しい時は私を見て』と言ってくれる。試合中は必死になりすぎて余裕がなくなるから、できたことを褒めてくれるだけでも気持ちが落ち着く。枩田の声が心の支えでした」


