第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER
「目標はシード権獲得」エース馬場賢人だのみから脱した立教大学の選手たちが狙う、箱根駅伝20番手からの快走
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佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2025/12/10 10:00
ケガの影響で箱根駅伝予選会は仲間を見守るにとどまった馬場賢人。今シーズンはまだ駅伝を走っていない
立大は箱根駅伝に戻って来た3年前からエースが不在だった。だが今シーズンは馬場がエースとしての存在感を発揮し、チームには選手編成のピラミッドが生まれた。頂点にいる馬場の脇を國安と原田颯大(3年)が固め、ほかの選手も彼らに引っ張られるように成長を遂げてきた。とりわけ、原田の成長はチームにとって非常に大きい。前回の箱根駅伝では6区で12位と苦戦したが、今季は4月の日本体育大学長距離競技会の5000mで14分11秒05の自己ベストをマークし、関東インカレ3000m障害男子2部で4位入賞。6月の日本体育大学長距離競技会5000mでは14分06秒50で自己ベストを塗り替え、箱根駅伝予選会でも62分20秒で自己ベストを更新し、部内トップ、総合20位と結果を出した。
原田は自信に満ちた表情で、こう語る。
「夏から秋にかけて調子がだいぶ上がってきたので、箱根駅伝予選会も自信をもって臨めました。4年生に頼るだけじゃなく、自分ががんばらないといけないし、監督からも『馬場に頼ったらダメだぞ。そろそろ変わらないとダメだ、変わるキッカケを作ろう』と言われていたので、いいキッカケになったと思います。本選では区間に関係なく、しっかりチームを引っ張り、流れを変えるような走りをしたいと思います」
原田の後を追うように、伸びてきたのが同学年の野口颯汰(3年)と伊藤匠海(3年)、さらに山下翔吾(2年)だ。野口は箱根駅伝予選会で63分22秒、伊藤はMARCH対抗戦の10000mで28分34秒63、山下は29分10秒07でともに自己ベストを更新した。
エースが実感するチームの成長
また、エースの馬場は箱根駅伝予選会と全日本大学駅伝には出走しなかったが、箱根駅伝本選に向けて回復途上にある。
「予選会と全日本ではチームに貢献することができなかったので、箱根駅伝ではチームの目標であるシード権の獲得のために、たすきをひとつでも前に持っていけるようにしたいです」
今季のチームについてはこう語る。
「チームは自分がいない中でも集中力を持ってやってくれていました。今の立教の良さはまさにそれで、普段は仲が良く楽しい感じでも練習やレースの時はピリッとして集中力を発揮する。箱根駅伝でもいい走りを全員が出来ると思っています」
髙林監督も「集中力の高さ」は立大の強みだという。
「昨季の全日本大学駅伝の選考会は私が着任して1か月半で突破し、その後の箱根駅伝予選会はトップ通過。それから2か月弱後の本大会まで集中して練習することで、選手たちは別人のように成長し、往路8位という結果を出してくれた。今回も箱根駅伝までに成長し、本大会では集中した走りを見せてほしいと思います」
箱根駅伝での目標は昨季と同じシード権獲得だ。
目標到達への距離感を理解しているがゆえに、選手たちはいま、火がついたように必死だ。MARCH対抗戦の10000mでは國安、小倉史也(4年)ら出場した15名中11人が自己ベストを更新し、調子を上げてきている。箱根駅伝予選会10位ゆえに本大会ではシード校と合わせて20番目からのスタートになるが、失うものがない立大は果たしてどこまでまくれるだろうか──。


