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「本気で勝ちたいに変えなきゃ」鹿島アントラーズ・鬼木達監督の覚悟…常勝軍団の指揮官が自問自答を繰り返したワケ「自分の力のなさを痛感しました」
posted2025/12/02 11:00
今季から鹿島アントラーズを率いる鬼木達監督
text by

池田博一Hirokazu Ikeda
photograph by
Naoyoshi Sueishi
発売中のNumber1132号に掲載[常勝軍団復活への道]鬼木達「挑戦を説き、姿勢で示す」より内容を一部抜粋してお届けします。
「本気で勝ちたいに変えなきゃいけない」
シーズン終盤の10月、かつて同じユニフォームを着て戦った名良橋晃が、練習を眺めながらこぼした。
「名将の雰囲気が出ていますよね」
鬼木達は1993年に鹿島でプロとしての第一歩を踏み出した。素直で愛くるしい人柄が、本田泰人ら先輩に可愛がられた。当時のイメージとはまた違った凄みをまとった姿に、名良橋は唸った。
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2025年。川崎Fで監督として7個の国内三大タイトルを獲得した鬼木が、26年ぶりに鹿島へ帰ってきた。
「新しいチームで監督をやるにあたり、自分自身は何を求めるのか。そう考えたときに、オファーをもらってから浩二(中田浩二フットボールダイレクター)とかなり話をしました。そこで感じたのはやっぱり熱量ですよね。本気で勝ちたいクラブなんだなと。自分自身が誰よりも勝利を求めている人間なので、目指すところが合致した。本当に必要とされていると強く感じました」
鬼木は鹿島からのオファーをそう受け止めた。中田との話し合いで伝えた一つに、外から見た鹿島への印象があった。それはチームに漂う義務感だった。
「鹿島は常勝軍団と呼ばれることで、選手たちが語る『勝たなきゃいけないチーム』という言葉が、どこか言わされている言葉に聞こえていました。勝たなきゃではなく、自分たちが誰よりも本気で勝ちたいに変えなきゃいけない。だからまず、自分の本気の姿勢が大事だと考えました」
「勝っていても負けていても、言うことがブレない」
言葉よりも、行動で。最初に変えたのは戦術でもシステムでもない。勝ちたいという本能を呼び起こす空気作りからだった。
「目指すサッカーは主導権を握り、魅了して勝つ。どれも譲れないもの。でも、ただ目指すものを掲げるだけでは届かない。まず自分たちが楽しむこと。そして見てもらう人にも楽しんでもらうこと。なおかつ、だから勝てるんだというチームにしていくこと。それをみんなとともに作っていきたいという思いがありました」
