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獅子の遺伝子BACK NUMBER
山田陽翔「待ってもらって申し訳ない」ドラフト5位指名までの1時間40分…近江高エース“上位確実”→下位指名の舞台裏「実は西武のことは詳しくなくて」
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/10/23 11:02
2022年のドラフト会議で西武から5位指名を受けた山田陽翔
では、そもそも自分がドラフトにかかるのではないかと思い始めたのはいつ頃だったのだろうか。
「周りが言い始めたのはいつかわからないですが、近江高校に入るときの目標として『プロに行きたい』という気持ちがあったので、自分はずっとドラフトを意識していました」
凄まじかった「近江フィーバー」
中学時代に140kmを記録し一躍、注目を集めた。近江高校に進学してからは2年生で初めて甲子園のマウンドを踏み、3年時は満塁ホームランを記録するなど打者としても脚光を浴びた。ドラフト時には「打者として考えている」と公言する球団もあったが、山田本人は打者ではなく投手でプロ入りを希望していた。
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「僕はバッターの才能はあまりないと自分では思っています。もし、打者でと言ってくださるチームに先に指名されていたら今頃は野手だったかもしれません。でも自分としてはピッチャーでと心に決めていました」
それにしても、近江高校時代の山田の人気はすさまじかったと聞く。甲子園での活躍で滋賀県は大いに盛り上がり、近江フィーバーを巻き起こした。
ファンが出入口に押し寄せて…
「皇子山球場というところで試合をしていたんですけど、近江を応援してくださる方が大勢、来てくれて……。めっちゃ申し訳ないんですけど、混乱を避けるために違う出口から帰っていました」
山田らを一目見ようと集まったファンが出入口に押し寄せたために急遽、相手チームの選手に交じり、こっそりと反対側の出入口から帰った。「2年のときから甲子園に出させてもらっていたので先輩のおかげ」と山田は謙遜するが、わが町のヒーローの誕生をどれだけ地元の人たちが喜んでいたかは想像がつく。
こうして一躍、人気者となった山田だったが、問題視もされていた甲子園での投球数の多さについては、どう感じていたのだろうか。〈つづく〉


