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山田陽翔「待ってもらって申し訳ない」ドラフト5位指名までの1時間40分…近江高エース“上位確実”→下位指名の舞台裏「実は西武のことは詳しくなくて」
posted2025/10/23 11:02
2022年のドラフト会議で西武から5位指名を受けた山田陽翔
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
JIJI PRESS
きょう23日に行われるプロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)。「運命の1日」には様々なドラマがある。今季、リリーフとして飛躍を遂げた埼玉西武ライオンズの山田陽翔投手。近江高時代は甲子園に3季連続で出場しスター選手として注目を集めたが、プロ入りはドラフト5位からのスタートだった。当時の思いと、下位指名から始まった飛躍までの道のりを語ってくれた。〈NumberWebインタビュー全2回の前編/後編を読む〉
2022年10月20日、滋賀県彦根市にある近江高校には100人近い報道陣が集まっていた。ドラフト会議で指名されるであろう野球部のエース、山田陽翔を取材するためだ。
「当時のこと? あまり細かくは覚えてはないのですが、学校の大きな会議室に、とにかく大勢の記者の人たちが集まっていて……。ドラフトが始まった瞬間からずっとそこで待っていたんですけど、(指名されるまでの時間が)めっちゃ長かったですね」
山田はそう言って苦笑した。
1時間経過…「いつ呼ばれるのかな」
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ドラフト会議がスタートしたのが午後5時。5位で埼玉西武ライオンズから指名を受けたのが午後6時40分。山田は約1時間40分を報道陣の前で過ごした。
「外はだんだん暗くなるし、記者の方とか、待ってもらっている人にはほんと申し訳ないなぁ、と思いながらテレビを見ていましたね。知っている選手が名前を呼ばれるのを見ても、『いつ呼ばれるのかな』という思いだけで、特に焦りはありませんでした」
高校時代に対戦した高松商業の浅野翔吾(巨人)や大阪桐蔭高の松尾汐恩(DeNA)らが1位で指名されたあとも山田は指名を待って長い時間を過ごすことになった。不安や焦りが押し寄せてくるのが普通だが、その間待機していた報道陣や学校関係者に思いを寄せるところに山田の性格が表れている。

