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「衰えてるどころか、むしろ…」タパレスが見た井上尚弥の"完璧な準備"「KOではなく判定勝ちだよ」じつは“直前スパー”で予言していた衝撃の12R

posted2025/09/22 11:08

 
「衰えてるどころか、むしろ…」タパレスが見た井上尚弥の”完璧な準備”「KOではなく判定勝ちだよ」じつは“直前スパー”で予言していた衝撃の12R<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

アフマダリエフを前に気合いを入れる井上尚弥。この後、完璧な12ラウンドが披露される

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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Hiroaki Finito Yamaguchi

 “最大の強敵”と自ら評したムロジョン・“MJ”・アフマダリエフ戦で快勝したことで、世界スーパーバンタム級の4冠王者・井上尚弥の評価はさらに高まった印象がある。階級屈指の実力者であるMJを子ども扱いしたアウトボクシングは、リングマガジンのトム・グレイ記者をして“ボクシング・サバント(ボクシングの天才)”と言わしめたほど。ファンを喜ばせる豪快なボクシングを身上としてきた“モンスター”の鮮やかなモデルチェンジだった。“打たせずに打つ”スタイルを徹底したことは意外性につながり、世界中のファン、関係者を驚かせ、そして感心させるに至った。

 多くの人間にとってのサプライズになったこの結果を、事前に予言していたボクサーがいる。元WBA、IBF同級王者であり、アフマダリエフ戦前に井上のスパーリングパートナーを務めたマーロン・タパレスだ。大橋ジムでの鍛錬の日々を終え、母国フィリピンに戻った33歳のタパレスは井上対アフマダリエフ戦の直前に行ったインタビューでこう述べていた。

「イノウエが勝つと思うけど、今回はおそらく判定勝ちだよ。MJはとてもタフでパワーもあるから、イノウエはアウトボクシングをして勝つと思う」

1カ月以上も滞在して練習相手を務めた

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 2023年4月、アフマダリエフに大番狂わせの判定勝ちで世界2階級制覇を飾ったタパレスは今戦前、井上側のオファーを受けて来日。「1カ月と1週間くらいだったと思う」という長期にわたって大橋ジム近くのホテルに滞在し、“モンスター”の練習相手を務めた。

マーロン・タパレスは井上尚弥のスパー相手として大橋ジムを訪れた。写真はタパレスのInstagram(@officialmarlontapales)よりマーロン・タパレスは井上尚弥のスパー相手として大橋ジムを訪れた。写真はタパレスのInstagram(@officialmarlontapales)より
スパーリングの様子。写真はタパレスのInstagram(@officialmarlontapales)より
スパーリングの様子。写真はタパレスのInstagram(@officialmarlontapales)より

 そこで目の当たりにしたのは、今回の防衛戦に集中し、同時にこれまでと少々違ったメンタリティでトレーニングに臨んでいた元対戦者の姿だった。

【次ページ】 井上尚弥から受けた質問

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