大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER
「ベッツにリスペクトはあるが…」大谷翔平を申告敬遠した“対戦監督のリアルな本音”…何度も対戦した投手が明かす「弱点が消えている」という恐怖
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斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph byGetty Images
posted2025/04/25 11:03

打者・大谷翔平の“恐さ”を対戦投手・監督が明かす――。
例えば、21年の大谷は46本塁打で打者として才能を開花させたが、内角高めのコースに関しては打率2割5分だった。それが、22年は打率3割3分3厘に上昇。同年は内角がむしろ危険ゾーンになり、逆に得意としていた外角の打率が下がった。特に外角低めのゾーンは2割6厘と“穴”があったが、翌年には、それが消えた。
「ベッツにリスペクトはあるが…」対戦監督の苦悩
初めて本塁打王のタイトルを獲得した23年シーズンは、外角低めのゾーンは打率3割8厘、内角低め(打率2割9分2厘)以外は、全て3割以上で、相手にとってほぼ全てのコースが危険ゾーンとなった。ドジャース移籍1年目で50―50(50本塁打&50盗塁)を達成した24年シーズンでは、外角低めのゾーンは打率3割8分5厘。つまり、データとしては弱点とみられるはずのコースがむしろ、いつの間にか得意ゾーンと化していたということになる。
コース別に限らず、課題が次第に改善されていくのは、大谷の特長でもある。昨年で言えば、シーズン当初は得点圏打率が1割に満たず、一時は19打数1安打(5分3厘)まで落ち込んだ。だが、結果的には2割8分3厘まで上昇。9月に限れば、26打数15安打の打率5割7分7厘で、劇的に数字が上がった。
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シーズン序盤から終盤にかけて相手にかける脅威のイメージを一変させ、9月3日のエンゼルス戦では延長10回2死二塁から申告敬遠で歩かされた。今季の開幕と似たようなシチュエーションで、続く2番ベッツが3ラン。試合を決定づけた。試合後、エンゼルスのロン・ワシントン監督は、こう言っていた。
「ムーキー・ベッツに対してはもちろん多大なリスペクトがあるが、ショウヘイと勝負するつもりはなかった。もし、オオタニと勝負して、ダメージを受けていたら、よく眠れたかどうか分からない。正しい選択だった」