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最強集団の進化 青学がマラソン戦線に放った刺客たち<別府大分&大阪&東京マラソンレポート'25> 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2025/03/28 11:00

最強集団の進化 青学がマラソン戦線に放った刺客たち<別府大分&大阪&東京マラソンレポート'25><Number Web> photograph by KYODO

若林宏樹 Hiroki Wakabayashi 2002年9月3日生、和歌山県出身。箱根には4年中3回出場。異名は「若の神」

「2025年版青学マラソンチャレンジ」は大成功

 太田の判断が面白いのは、そうした「国内基準」に最初から興味を示さなかったことだ。ハナから世界基準に合わせてレースを進める意思決定をしており、無難にレースを進めるよりも、どれだけ世界のエリートと一緒に走れるのか、その皮膚感覚をつかむ方が未来への財産につながると考えたのだろう。もちろん、今回の「果敢さ」が有意義なものになるかどうかは、今後の活躍次第。それでも失速覚悟で突っ込む度胸には、危うい魅力が漂う。実際に太田がレースの序盤を盛り上げたのは間違いなく、中継局の日本テレビとしては、「太田様様」だったのではないか。太田の次のレースに注目したい。

 今季のマラソンシーズンを振り返ってみると、盛り上げたのは「青学勢」だった。世界陸上の選考に絡むレース、12月の福岡国際ではOBでいまは青学大を拠点に練習を積む吉田祐也(GMOインターネットグループ)が優勝。

 2月に入っての別府大分毎日マラソンでは箱根駅伝5区で活躍し、「これが現役最後のレース」と決めて出場した若林宏樹が2時間6分07秒という学生記録をマークして、2位に食い込んだ。優勝争いに絡んでのこの結果は見事である。また、箱根駅伝で7区を走った白石光星が2時間8分42秒で6位で走り切ったのも見逃せなかった。

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 そして大阪マラソンでは「外さない男」、箱根駅伝では2年連続2区で実力を示した黒田朝日(3年)が登場。運営側の誘導ミスというハプニングがあったものの、2時間6分05秒で若林の記録を2秒上回り、学生記録を3週間ほどで更新してしまった。

 この2レースをもってして、「2025年版青学マラソンチャレンジ」は大成功を収めたと言ってよかった。

この続きは、発売中のNumber Do「『50歳でも速くなる』RUNの裏ワザ2025」をご覧ください。

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