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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「自分、中学、高校とちょっとショボかったので…」“ドラフト1位候補”154kmサウスポー・金丸夢斗に「左腕王国」埼玉西武を推したい納得のワケ
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/03 06:03
今年のドラフトの「目玉候補」でもある関大4年の金丸夢斗(左)。新人王候補でもある武内夏暉(右)ら擁する「左腕王国」西武が向いている?
金丸投手との会話の中でずっと快活に話していた彼が、珍しく弱めの口調でボソッとつぶやいたこの部分こそ、とても大切なキーワードだと思う。
関西大に入ってからの快刀乱麻の活躍があまりにも有名になっているから、誰もが「1年目から10勝」ぐらいの期待をかけているのだろう。だが、実はそれ以前の「球歴」を良く見ると、中学部活の軟式から普通の公立高なのだ。「鉄は熱いうちに打て!」とよくいうが、実はこの金丸投手、熱いうちにあまり打たれていないのではないか。
あえて「左腕王国・西武」こそ最適の就職先?
なのであれば、左腕投手陣に余裕のある「西武」こそ今の金丸夢斗投手に最適の就職先と見る。
これだけのボールを投げ、これだけ三振を奪えるサウスポーなど、数年に一度しか出てこない。それほどの逸材である。球界の宝物として大切にしたい。近未来のエース教育として、実はまだそこまで鍛え込まれていない心身に、本物の「強靭さ」を注入すること。そのために1年なり、1年半なりの時間を費やし、ひとシーズン一軍投手として投げ続けてもビクともしない強さを養うことが最優先ではないか。
能力抜群の左腕である。左に困っている球団なら、1年目から期待をかける。それは無理もない。ただ、そこまでの心身の強さが本当に搭載されているか否かは、ぜひ確認してほしい。
9月8日、秋のリーグ戦・近畿大戦。
およそ4カ月ぶりの公式戦のマウンドに戻ってきた金丸夢斗投手。そこから4試合、いずれも最終回の1イニングを投げて、合計4イニングで3安打8奪三振2四死球。まだ1点も奪われていない。
関西大グラウンドでの練習では、やや強めの体幹強化メニューもこなして、「痛いのここ? こっち?」と腰を触ってみても、「もう、どこが痛かったのかわからないぐらい、痛くないです。痛かったら投げられませんよ」と、強気のコメントだ。
ブルペンには「様子を見ながら」だが、遠投は毎日のように続けていて、これが実に良い練習をしている。