五輪は世界最高の12カ国しか出ない大会であり、どこが来ても簡単な相手はありません。それでも今のいい流れを継続し、未来につなげていくことが大事。トム（・ホーバスHC）もそうですし、今大会でもみんな世界を驚かせようという気持ちでやっているので、そこを信じてサポートしていきたいと思っています。

　パリ五輪で本当の意味で世界を驚かそうと思えば、アメリカ組の存在は必要不可欠です。特にNBA組はシーズン後にはある程度の休息も必要になるとは思いますが、できる限り早いタイミングで日本代表にも合流してもらえたら、というのがこちらの希望です。

　雄太に関しては、日本の支柱としての存在感を今回も期待しています。今の日本代表の盛り上がりは彼なしには考えられません。ここ数年は塁が不在の状況で、技術的にも、精神的にも、厳しい戦いの中で雄太がみんなを引っ張り、日本代表は“雄太のチーム”であり続けてきたところがありました。

昨年のW杯で光った渡邊雄太のリーダーシップ。パリ五輪でもチームを牽引する活躍が期待される　©︎YUTAKA/AFLO SPORT

島田チェアマンが絶賛する渡邊のリーダーシップ

　コート内外で、彼のリーダーシップは突出していますからね。W杯でも「勝てなかったら引退する」と覚悟を持って公言し、仲間を鼓舞してくれました。パリでは塁が復帰してくれることになったとしても、雄太の存在感とチームメイトからの信頼は絶大ですから、その影響力に変わりはないと思います。みんなから本当にリスペクトされていますし、先頭に立ってチームをまとめたり、というのは彼にしかできないことでしょう。

　私が最初に雄太に会ったのは、数年前のことでした。彼が日本に帰ってきた時に三屋裕子さん（日本バスケットボール協会会長）や東野智弥さん（JBA技術委員長）とかと一緒に食事したのが最初です。彼はその翌年も帰ってきて、JBAのオフィスにも来てくれました。そこでミーティングをして、翌日に結婚発表したんですよね。

　私のYouTube番組に対談という形で出てくれたり、距離感をある程度詰めた上で、去年のW杯を迎えました。W杯中は何度も会ったし、終了後の祝勝会でも一緒でした。

　アメリカで戦い続けてきた彼の言葉で印象に残っているものも幾つかあります。アメリカでは格闘技じゃないにしても、日本のバスケットボールとは違うスポーツをやっているようなもの、という話もしていましたね。生きるか死ぬかじゃないけど、競争は半端ではなく、明日が保証されない中で生きていると。

2月にトレードでメンフィス・グリズリーズに復帰した渡邊雄太　©︎Getty Images

　そんな中でも毎年契約を手繰り寄せ、ぎりぎりで生き残れているのはNBA広しといえどたぶん自分しかいない、それは誇りに思っていると言っていたのも覚えています。自ら“崖っぷち”とSNSにあげるくらいですから、アメリカでの日々を回想する話はインパクトがありますよ。

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