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“美しすぎる”と注目された女子野球選手のトラウマ「当時、私は高校生で…」なぜ加藤優は引退を決意した?「(女子野球に)危機感を抱いていた」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byL)Shiro Miyake、R)本人提供
posted2023/11/22 11:03
女子プロ野球で活躍し、引退後の今年7月には結婚を発表した加藤優さん
「私は自分から辞めました」引退を決意した日
女子プロ野球に苦境が訪れたのは2019年のことだ。観客動員数の減少など経営状態が悪化し、11月にリーグ所属の4チームの選手のうち半数近い36人が退団することになった。縮小化を余儀なくされ、加えてコロナ禍に直面したリーグは2021年限りで事実上、消滅。女子プロ野球に冬の時代が訪れた。
――2019年に退団した経緯はどのようなものだったのでしょうか。
加藤 19年のシーズンが終わったタイミングで、契約のやり方を変えるという話があって、年上の選手たちが切られてしまったんです。その中には一番上手い選手もいて、単に年齢で区切っていたのだと思います。それじゃあプロじゃなくなるよ、と思って私は自分から辞めました。女子野球を取り巻く環境にすごく危機感を抱いていて、私は地元の神奈川のチームである(横浜DeNA)ベイスターズに女子チームを作ってくれないか、と直談判に行ったんです。
――加藤さん自ら?
加藤 はい。なかなか破天荒なことをしたなと今では思います(笑)。でもその時は何とかしないといけない、という使命感みたいなものに突き動かされていて。私が、というよりはもっと下の世代で野球をやりたい子たちに繋いでいかないと、って。
――直談判が実って、2020年はベイスターズで働くことになったんですね。
「プロ野球以外でやるつもりは全然なかった」
加藤 1年間、ベイスターズのスクールのコーチもやらせてもらいながら、女子野球の球団作りについて働きかけていました。最初はクラブチームでもいいので、プロ野球と同じユニフォームを着られることに夢があるなと思っていました。でも当時は、コロナ禍もあって色々と難しくて……。大きいものを動かすには私は力不足なところもありました。1年でその夢は諦めて、自分でスクールを立ち上げようと動きだしました。
――凄い行動力です。とはいえ、ここ数年で西武、阪神、巨人などが女子チームを創設しています。先見の明がありましたね。
加藤 そういうことが動きだしたのは本当にうれしい。現実的には、女子チームでもお給料がもらえる仕組みを作る難しさというのはあるかもしれません。でも私が中高生の頃に目指したように、今の子たちにも夢を目指せる場所を繋いでいきたいという思いは強く持っています。
――先ほど、20年冬のセレクションでの代表落選を機に引退を決めたと話していました。
加藤 私的にはプロ野球以外ではもう野球をやるつもりは全然なかったです。ベイスターズでもしチームを作れたら、次代のためにサポートをしながらしばらく選手も続けたかもしれませんが、それができなかったのでプレーヤーとしては辞めようと思っていました。最後に企業チームから声をかけていただいたので、半年間だけ頑張ってプレーして21年の7月に引退しました。